よんじゅう


「………は、」

『……もう会わないから、だから、遠くから応援だけさせて』



名前は少し笑うと、侑の隣を通り過ぎる。




「………」

『…侑?』




侑が名前の手首を掴んで引き止める。




「…お前のっ、お前のそういう所が嫌いや!」

『…え、』

「なんでも分かってるみたいな顔しとるくせに全然分かってへん!!」

『…あ、侑?』

「ほんまにっ、ムカつく!!」



侑は大声で名前に叫び続ける。涙がまたボロボロと流れて、まるで親を引き止める子供の様だった。



「いつも偉そうに年上ぶって!!腹立つねん!たった数年の違いやろが!」

『あ、侑…?』

「なんでそんなあっさり諦めんねん!応援したいならちゃんと傍に居ればええやろ!」

『いっ、言ってることが、滅茶苦茶だよっ、』

「遠くから応援しとるってなんやねん!遠くからじゃ分からんやろ!遠くから俺の事が分かるんやったらそれは神様だけや!お前は神様なんか!?仏か!?」

『え、えぇ…?』

「ほんまに腹立つ!バレー下手くそなくせに!嘘しか吐かんくせに!!」

『だっ、だから、侑の前には、もう、』

「それが意味分からんわ!なんでや!ムカつく!ほんまにムカつく!!」

『あ、あつむ、』

「お前見てるといっつも腹立つねん!俺の周りちょろちょろしおって!イライラすんねん!!」

『だっ、だからっ、』

「他の男と仲良なかようしとるし!顔やって整ってるわけでも無いやん!!」

『みっ、見た目は関係無いと思うんだけど…!?』

「スタイルも良くないし!誰にでもヘラヘラして八方美人やし!ほんまにうざいわ!!ほんまに大っ嫌いや!!殺してやりたい程憎いわ!…やけどっ、1番ムカつくのはっ、」



侑はバッと顔を上げて大声で顔を赤くして言葉を続ける。



「そんなお前に惚れとる俺にムカつく!!!」

『……………………………は?』





言葉の意味を理解した名前の顔は侑と同様に真っ赤に染っていた。



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