さんじゅうはち


『…なんで、そんな顔するの』

「……」



侑のその表情が中学生の時の侑と重なり無意識に手を伸ばす。



「………触んな」

『…ぁ、』




侑の声に慌てて手を止める。




「……」

『…ユース合宿にも、呼ばれたんでしょ?やっぱり凄いね侑は』

「…」

『いつか日の丸を背負ったりするのかな…』

「……」




侑の未来を想像して名前はくすりと笑う




『もしかしたらバラエティーとかにも呼ばれたりして…』

「……」

『でもその前に雑誌の表紙とか飾ったり…、顔はいいからなぁ〜』

「……」

『凄く、楽しみ』



名前は本当に心の底から嬉しそうに笑って、顔を上げる。



『……侑!?』

「…っ、」




侑は唇を噛み締めボロボロと涙を流していた。それを見て名前は目を見開き慌てて手を伸ばす。





ーー「………触んな」

『っ、』








けれど先程の侑の言葉を思い出し伸ばしていた手を止める。グッと唇を噛み締め、手のひらを握りしめる。



『……侑?』




下ろそうとした手を掴んだのは、侑だった




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