さんじゅうなな
『…あ、つむ、』
「………お前を
全国で見た時の俺の気持ちが分かるか?」
『……』
「
烏野と笑おうてるお前を見た時の俺の気持ちが分かるか?」
『……』
「殺したくなる程腹が立ったわ」
侑は手を離すと名前の胸ぐらを掴み上げる。そのせいで名前は少し苦しい声を出したが侑は気にすること無く距離を縮める。
『ぅ…、』
「……なんでまた俺の前に現れた」
『…、』
「…お前さえ現れなければっ…!」
侑はぎっと名前を睨み手のひらに力を込める。その分首が閉まり名前が苦しそうに眉を寄せる。
「………これでほんまに最後や」
『…侑、』
侑は名前を壁に押し付けるように手を離し、無表情で見下ろす。
「…二度と俺の前に姿見せんな」
侑は名前に背を向け歩き出す。
『……わかった』
「………」
名前の声に侑は立ち止まる。
「………やっぱ裏切りもんやな」
『……え?』
侑は振り返ること無く小さく呟き、名前は崩れたジャージを気にすること無く、侑の足元を見ながら口を開く。
『…侑が、私の事嫌いでも、それでも、応援してる』
「……」
『ずっと…、侑がどんなに先に行っても、……私なんかが追いつけないような所でも』
「……」
段々と小さくなる言葉に、侑はシューズをキュッと鳴らし振り返る。
「烏野に居るくせによう言えるな」
『……そう、だよね、』
「俺らと居る時は俺らを応援する言うて…」
侑は言葉を紡ぎながらゆっくりと名前に近づく
「
烏野と居る時は
烏野の事応援する言うとるんやろ?」
『……』
「……どうせ
烏野のことも捨てるんやろ」
『……』
「…………俺みたいに」
そう言った侑の顔は今までとは違い、悲しそうに顔を歪めていた。
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