にじゅういち


「名前!!!」

『…なに?』

「聞いて驚くなよ!?」

『…それは驚いてくれっていうフリ?』




週に1度の練習場所である公園に現れた侑は興奮した様に名前に詰め寄り体を寄せる。



「フッフ…」

「何笑ろうとん」

「げっ…!サム!!」

「げって俺かて練習来るんやからそら来るやろ」

「来なくてもええんやで?」

「名前さん」

『なに?』

「あっ!おいサム!」



治は名前の前に1枚の紙を取り出すと見せる様に近づけた。



「稲荷崎受かりました」

「俺が言うつもりやったんやぞ!!」

『へぇ〜…。おめでとう』

「軽っ!軽すぎろ!」

「まぁ、スポーツ推薦貰てたしな」

『稲荷崎って強いの?』




名前が首を傾げると侑は腰に手を当てて胸を張った。その間治は紙を仕舞い、カバンからボールを出していた。



「俺が更に強くすんねん!」

「ドヤ顔で何言うてんねん」

『じゃあ全国とか行けるの?』



名前が軽い気持ちでそう言うと、侑は眉を寄せて顔を顰めた。



「何言うてんねん!当たり前やろ!!俺が居んねんから!!」

「……阿呆くさ」

「なんやと!?」

『2人が全国行けたら応援行くよ』

「ほんま!?」

「……」



侑は嬉しそうに頬を染め名前に詰め寄り、治は言葉は発していなくても嬉しそうに少し頬を緩めていた。




『楽しみだなぁ〜…』

「気が早ないですか?」



侑は考える様に腕を組んで首を傾げると、思いついた様に手のひらに丸めた手をポンッと乗せた。




「俺が名前を全国に連れてったるわ」

「……痛い奴が居るわ」

「うっさいわ!」

『…確かに私全国行ったことないし、観に行った事も無いな…』

「やろ!?やから俺が連れてったる!」

「…俺も、連れて行ったる」

『……じゃあお願いしようかな』




侑と治は小指を突き出し、名前の前に出す。名前は首を傾げて、あぁ、と小さく声を出して両手の小指を2人に絡める。




「約束や!」

『私を全国に連れてってね』

「おん!」




侑と治は嬉しそうに頬を染めて子供の様にニカリと笑った。



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