底なし夜の遠泳
∵
番外編
四季/開かずの間
ただ、まぶしいものを見るとき
真秀とインプリンティング
どうしようもなく温い暗がりにて
雨昼にほつれる息遣い
壊死の手触り
野に晒された雨と傷
いつしか崩れゆく箱庭のなか
ありふれた夢(断頭台にて)
一握の銀木犀
青の深いところ、夜の深いところ
枯れおちた花片ひとつ潰さずに
私たちこんなふうに満ちたりたかった
幸いは降りつもる粉雪のように(完)
2021.04.11 完結
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