今日はえいえんの最初の日
2018年 10月31日 20:39 青山霊園
「五条先生1人にやらせるぅ!?理屈は分かるけどさ、俺達にもできることがあるでしょ!バックアップとか!」
「うん。だからそれをしに今から渋谷へ向かうんだよ」
「あっそーなの!?」
『でも五条先生がいるなら私達は足でまといになるんじゃ…』
「姉様にバックアップをさせるなんて。五条悟…、贅沢な男ですね」
「彼をその辺の男と同レベルで考えてはいけないよ」
「姉様だってその辺の女とは違いますっ」
「…………」
『……………』
私は虎杖くんと共に1級術師 冥冥・並びに憂憂と任務に当たっていた。けれど2人がイチャイチャ(?)しだすから虎杖くんと一緒に唇を尖らせて感情を無にした。すると冥さんの携帯が鳴って行き先変更を告げられた。
「虎杖くん、苗字さん。行き先変更だ」
『…え?』
「明治神宮駅前に渋谷と同様の帳≠ェ降りた。私達はそちらに向かう。走るよ。ついておいで」
「押忍」
『……は、走るの?』
4人の中で私だけが嫌そうな顔をしていた。だって走るの遅いんだもん。伏黒くんお墨付きだよ?
『…ハァッ、…ハァ…』
「大丈夫か?苗字。俺背負って行こうか?」
『へっ、平気っ!これから戦うかもしれないのにっ、仲間の体力を減らすわけにはっ、』
「そっか。…あ、スピード上がった」
『……虎杖くん。…私が倒れても気にせず行ってね』
「その時は抱えて行くよ」
虎杖くんは本当にいい子だ。その優しさにジーンとしていると何とか明治神宮駅前に辿り着くことができた。
「地下鉄の駅全体を覆う一般人を閉じこめる帳=Bその内側、副都心線ホームを中心に術師を入れない帳≠ェ降りています。2つの帳≠フ間にこれらの帳≠降ろしている呪霊か呪詛師がいます」
「間?中心のホームじゃなくて?」
「おそらくですが自分も外に出るデメリットを抱えて結界強度を上げているのだと思います。それから帳≠フ間に…、その…断言は出来ないのですが…」
「…?」
『…?』
「構わないよ。言ってごらん」
「……帳≠フ間に改造された人間がいます」
『………改造された、人間』
きっと私も祓った事のあるアレだ。虎杖くんの雰囲気が変わってチラリと見ると、いつもの優しげな雰囲気とは打って変わって、まるで殺意の様な禍々しい雰囲気が彼を包んでいた。
「…………何してんの!?急がねぇと」
「シッ!姉様は今、烏達と視覚を共有しています」
憂憂くんの言葉に私はジッと冥さんを見つめる。烏達と視覚共有って、…………かっこいいじゃないか。
「………うん。大体分かった。虎杖君。弱い改造人間を沢山殺すのと、強い呪霊を1体払うのどっちがいい?」
「っ!…………」
「ま、君の場合後者だよね」
冥さんは自分が見たものの説明をし、これからの行動を話す。流石1級術師。判断が早い。
「帳≠ェ上がり、一般人は解放され地下5階での相手方の目的を判明していてほしい」
「大丈夫だよ冥さん」
『…………虎杖くん?』
「俺はもう負けないから」
そう言った虎杖くんの表情は自信とか、確信とかそんな優しいものじゃないように見えて。
私にはまるで、自分に言い聞かせてそうでなくてはならないという縛りのように聞こえた。