リクエスト消化 | ナノ

五条悟の必死な姿






「……最近帰り遅くない?」

『何当然の顔して私の家に居るんだよ』





我が物顔で私のベッドで横になっている五条悟を睨む。無下限があるとはいえ、お風呂に入ってないのに寝転がらないで欲しい。





「帰りが遅い気がするんだけど!!」

『うるせぇ!ご近所からクレーム来たらどうしてくれんだよ!』

「僕の家に住めば万事解決かも!!」

『嫌だね!!』





荷物をリビングに置いて、汗を流す為にお風呂を目指すと背中にベッタリと抱きつかれる。





『汗かいてるから止めて』

「汗!?どこの男よ!どこの男と汗なんて流して来たの!?」

『高専から出て15分くらいの所にいる男かな』

「……は?」





自分で聞いてきたくせに声を低くして唸る五条悟の情緒が分からん。そのまま無視してお風呂へ向かおうとすると手首を掴まれて床に押し倒された。しかも背中打った。痛てぇし重い。




『なに。お風呂入りたい』

「どこの誰?15分って車で?徒歩で?男の名前は?見た目は?体格は?呪術師?一般人?僕よりかっこいいの?僕より名前の事が好きなの?ソイツにどこまで触らせた?どこまで許した?」

『怖い!!』





目隠しを首元にズラして息継ぎもせずに話す五条悟に本気でビビった。顔を平手打ちしようとしても無下限のせいで届かなかった。




『ジム!ジムに通い始めたの!!』

「………ジム?」

『そう!だから退け!!』






五条悟はスっと私の上から退くと、前髪をサラッとかきあげた。花輪くんみたいに。急になんだ。気持ち悪いな。




「まぁ?分かってたけどね」

『嘘つくな。ガチギレだっただろオマエ』

「なんでジムなんて通い始めたの?」

『何でもいいでしょ。つーかお風呂入るから。邪魔』

「ねぇー!なんでぇー!?なんでなのぉー!?」

『ほんっとうにうるさいな!オマエ!』





私の体にしがみつく五条悟を必死に剥がそうとしても、元々ゴリラのコイツを剥がすことは出来なかった。仕方なくお風呂に行くのを諦める。





『何なんだよ』

「なんでジム通い始めたの?」

『ダイエット』

「まぁ名前には必要だよね」

『死ねよ』





率直に死を請うけど五条悟は私のお腹のお肉を摘んだ。その手を払い抜けて顔を殴る。けど届かない。本気で腹が立った。





「ジムでなにしてんの〜?」

『……キックボクシング』

「それくらいなら僕だって教えてあげられるよ!見ててね!今からこの薄い壁壊すから!!」

『壊すな!!』




構える五条悟を後ろから羽交い締めにして壁から離れる。しかも普通に失礼なこと言いやがったコイツ。




「他の男に仕込まれた蹴りで僕を蹴るつもり!?そんなの関節浮気じゃん!」

『オマエやっぱ頭悪いよな』

「嫌だァ〜!僕以外に何も教わらないで!目を合わせないで!言葉を交わさないで!蹴らないで!殴らないで!半径3m以内に近づかないで!」

『…………きも』

「酷い!!」





五条悟を無視してお風呂に入ると、当然の様に入って来た五条悟は本当にお願いだから、1発でいいから本気で殴らせて欲しいと思った。




∵∵∵




『ただいま〜』

「あっ、おかえりー!」

『………何してんだ』





1人にしかいないはずの自宅に帰ると、ボクシングのグローブを付けてドヤ顔をした五条悟が居た。本当になにしてんのコイツ。特級呪術師って暇なの?





「名前にボクシング教えてあげようと思って」

『アンタが殴ったら建物消えるわ』

「うへへっ」

『褒めてねぇから』




頬を染めて気持ち悪い笑みを浮かべる五条悟に舌打ちをする。首筋に伝った汗を拭うと、五条悟はスンッと真顔になった。





「……どうせあれだろ。キックボクシングとか言ってトレーナーに、えぇ〜、できなぁい〜、とか言ってんだろ」

『情緒どうした』

「けっ!僕そういう女大っ嫌いなんだよね!できないとか言って出来んだろ!?出来ないって言っておっぱい寄せて男騙そうとしてんだろ!」

『うるせぇし、違ぇよ』





最近コイツの情緒が分からん。疲れたなぁ、なんて思いながらそっぽを向くと五条悟がパシンッとグローブ同士を当てた。





『……なに』

「おっぱい寄せてんだろ。他の男に」

『寄せてねぇよ。つーか偏見凄すぎだろ』





本気で面倒になって五条悟にスタスタと近寄る。そして五条悟の腕に自分の腕を絡めて胸を押し当てて猫なで声を出す。





『悟せんせぇ〜…、私疲れたからお風呂入りたいなぁ〜。だから帰って欲しいなぁ〜?』

「……………」





何も言わない五条悟を覗き込むと、鼻からはツーっと赤い液体が流れていて、その目は瞳孔が開いていた。




「……勃ったし、最高」

『…………きっしょ』





本気で引いて、体を話すとジリジリと五条悟が近寄ってくる。その手はエロおやじの様にワキワキと動かされていた。




『………来るな』

「僕が教えてあげるからね〜」

『結構です』

「特に僕はね〜、寝技が得意でねぇ〜」

『キモイ』

「先っちょ、先っちょだけだからね〜」

『きもい!!』





ハァハァと息を荒らげながら追いかけてくる五条悟にキックボクシングで鍛えた右足を腰に入れると、意外にも当たった。




『やった!当たった!』

「……………」

『…え、ちょ、大丈夫?まさか無下限切ってると思わなくて』

「……………」

『…悟?………はぁ!?』





蹲った五条悟に近付くと腕が掴まれて馬乗りになられた。突然の事に目を見開くと、五条悟は未だにハァハァと息を荒らげていた。




「先生と寝技の練習しましょうねぇ〜」

『ふざけんな!ちょっ、どこ触ってんだ!変態!』




本当にいつかキックボクシングを習得してコイツの寝首を掻きたいと思います。





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