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「名前さんからレオナさんの匂いがプンプンするんスよね〜」

『…え?』



そうラギーくんに言われて腕に鼻を近づけて匂いを嗅ぐけれど、なんの匂いもしなかった。



「あー、普通の人には分からないと思いますよ。オレたちだから分かるって感じなんで。」

『そうなんだ…』

「サバナクロー生からしたら名前さんからレオナさんの匂いがプンプンするんで、最近サバナクロー生はビビりまくりっスよ」

『なんで!?』

「そんだけレオナさんの匂いさせてたら勘違いされても仕方ないっスよ」

『…勘違い?』

「アンタがレオナさんの女なんじゃないかって事っスよ」

『………え!?』



ラギーくんは特に顔色も変える事無くそう言って、私が買ってあげた学食のカツカレーをガツガツと男の子らしく口に運ぶ。



『ちっ、違うよ!?レオナくんは仕方なく私と居てくれるだけで恋人じゃないよ!?』

「そんなに焦らなくたって分かってますよ」

『な、なら、良いんだけど…』

「それにしても、何でそんなに否定するんスか?レオナさんとデキてるって噂流れた方が良くないっスか?運良くそのまま結婚しちゃえば将来安泰っスよ?」

『ラギーくんは結婚をなんだと思ってるの…』

「シシシッ、もしかして名前さん意外と乙女なんスか?結婚に夢見てる感じっスか?」

『……そのニヤニヤするのやめて。乙女で悪かったですね〜』

「悪いとは言ってないじゃないっスか。ただ、レオナさんと結婚するならそんな乙女チックな結婚生活は送れないと思いますけどね〜」

『なんで私とレオナくんが結婚する事になってるの…』

「んじゃ、飯も食い終わったわけですし行きましょう」

『…毎回ごめんね』

「別にいいっスよ。ちゃんとお礼の飯奢って貰ってるんで」

『強く生きて生きそうだね…、ラギーくん』

「スラム育ちは伊達じゃないんで」


そう言ってラギーくんは頭の後ろで腕を組んで歩き出した。



****



『…もう、本当に申し訳ないよ、』

「あ?」

『朝は私の借りてる寮までラギーくんが来てくれて、夜はレオナくんが送ってくれて…。それにレオナくんは時間がある時に私と一緒に居てくれるし…』

「オマエが居るとサボるのに丁度良いんだよ」

『だとしてもだよ…。感謝してもしきれないよ…。今だって本当ならマジフトの練習中なのに…』

「オレがサボりたいから居るだけだ。自惚れんな」



私とレオナくんは少し離れた場所でサバナクロー生がマジフトの練習をしているのを見ている。レオナくんは練習着は着ているけれどやる気が無いのか長い髪はサラリと揺れていて縛ってはいない様だった。



「アイツらもオレが居ないくても少しは出来るようになってもらわねぇと困るんだよ」

『…ちゃんと寮生の事まで考えて、』

「毎回出るの面倒なんだよ」

『……』




チベスナ顔でレオナくんを見ていると不意に手のひらにフワフワとした感触を感じて目を落とすとレオナくんの尻尾が私の手首に巻きついていた。


『ふふっ、』

「あ?何笑ってんだ」

『可愛いなって思って』

「…は?」


レオナくんは無意識で気づいていないのかイラついたように眉を寄せていた。無意識っていうのが嬉しくて胸がじんわりと温かくなる。


「そんな馬鹿みたいに無防備だから狙われんだよ」

『ば、馬鹿…、』

「オマエが男でサバナクローに居たらすぐに死んでる」

『死んでる!?学校なのに!?』




私が慌てるとレオナくんは楽しそうに喉を鳴らしていた。



「オマエ寮なんだってな」

『うん。学園長が貸してくれてるの』

「防犯とかしとけよ」

『ばっちり!』

「本当かよ」

『寮に学園長が防御魔法を張ってくれてるみたいで、寮生ぐらいじゃ通れないんだって』

「…嘘くせぇ」

『女1人だからって気を使ってくれたみたい』

「チェーンロックもかけとけよ。寮で何かあってもオレもラギーも気づけねぇからな」

『うん!本当にありがとう、』

「うるせぇな。請け負ったのはオレ達だ」

『…うん、ありがとう、』



私がお礼を述べるとレオナくんは鬱陶しそうに舌打ちをしていたけれど、数週間一緒にいて随分と舌打ちにも慣れたものだし、彼の舌打ちは2種類あって機嫌悪い時と、照れ隠しがある。今のは後者だ。



レオナくんの隣は酷く心地良い




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