アニメ版 C
時間軸は交流会ですが、本編では参加していない夢主がいて不思議な空間になってます。付き合ってはいます。
『好きなタイプ、…ですか?…真希さんはなんて?』
「最低限真希さんより強いひとだって」
『…………大丈夫?凄く絞られてない?それ…。世界に何人いるの?』
「ちなみに私はかきくけこ≠ヘ無理」
『かきくけこ?』
「かいしょうなし、きんけつ、くさい、けち、こときれる」
『……まぁ、うん、そうだね…』
「で?名前は?」
『私のタイプなんてどこに需要があるの…?』
「あるわよ。そこのムッツリが、ボク興味無イデスヨー、って無表情決め込みながら聞き耳たてるくらいには」
「………」
『なんで伏黒くんが気にするの?それに別に伏黒くんはムッツリじゃないでしょ…?』
「名前知らないの?ああいうクールぶって性欲なんてありません。なんて顔してるやつが1番危ないのよ?」
『えっ…!』
「オマエも、えっ、じゃねぇ。違ぇよ」
「あら、興味無い振りはやめたの?ムッツリ」
「違ぇっつってんだろ」
「それで?このムッツリの為にも名前のタイプ言ってあげたら?」
タイプ、タイプかぁ…。難しいなぁ。特にこれっていうタイプは無いんだよなぁ。私を愛してくれればそれで良いからなぁ。
『うーん…、タイプ…、タイプ…』
「あー!じゃああれでいいわよ!初恋の相手!居たでしょ?好きな人くらい」
『初恋かぁ…』
私が首を傾げていると伏黒くんは眉を寄せて私を見ていた。時間かけるなって事かな…。パッと答えて終わりにしよう。
『見た目は結構背は高くて、体格も大きかったかなぁ…』
「うんうん、それで?」
『結構筋肉が凄かった気もする…、あとは目つきも鋭くて…、手とか足とか、大きかったなぁ…』
「……名前、」
『それに笑うと結構怖いんだけど、そこもいいって言うか…、話す時にはしゃがんでくれるし、抱っこしてくれる時も、こう、包まれてる感じが良くって…、』
「名前、…あの、」
『性格の面だとちょっと、アレなんだけど…、歯に衣を着せぬ物言いが凄く良くて…、そこがあの人の魅力っていうか…、私が好きになった所というか…、ちょ、ちょっと恥ずかしいなぁ…、』
「名前!もういいわ!大丈夫!ありがとう!」
『…え?も、もういいの?』
「いいわ!十分!伏黒が嫉妬の化身になる前に止めて!」
「……………………別に、気にしてねぇ」
「気にしてない奴の面じゃないのよ!地面が割れそうな程低い声出しておいて!アンタ分かってる!?今にも殺しに行きそうな目してんのよ!」
『伏黒くんどうしたの?お腹痛い?』
「虎杖ー!虎杖はどこー!?私一人じゃ捌ききれないのよー!!」
伏黒くんに近づいて見上げると、彼はそっぽを向いていた視線を私に凄くゆっくりと落とした。私が首を傾げると、伏黒くんは私の前に流れている鎖骨辺りの髪を耳にかけるとそのまま手を滑らせて私の首元を指でなぞった。
『ふふっ、伏黒くんっ、擽ったいよっ、』
私が肩を震わすと、伏黒くんの大きな手が私の首を覆うようにあてがわれる。喉が伏黒くんの手に包まれて、気温が高いせいでじんわりと汗をかいてしまった。
「…………」
『伏黒くん汗、ついちゃうよ?』
「………………」
『……どうしたの?お腹痛い?家入さんのところ行く?私、ついて行こうか?』
何も言わずに首元に視線を落とす伏黒くんに不安になって、喉に置かれた手に自分の手を重ねると、ピクリと彼の手が動いて、ゆっくりと手が離れた。
「………いや、平気だ」
『…本当?』
「あぁ」
私が安堵の息を吐くと伏黒くんはフイッと視線を逸らしてしまった。すると後ろで野薔薇が虎杖くんを呼び出したのか飛び蹴りをしていた。どうして?
「虎杖アンタ!なんで居なかったのよ!!」
「えぇ…!?理不尽…!!」
『虎杖くん大丈夫…!?』
私が虎杖くんに寄ろうとした時、ふと伏黒くんを見ると彼は自分の手のひらを見て、グッと握っていた。最近、真希さんに呪具の使い方教わってたみたいだからマメが痛かったのかな?
『虎杖くん大丈夫…!?』
「……苗字、俺の腰大丈夫?折れてない?二つ折りとかになってない…?」
『だ、大丈夫…!ちゃんと真っ直ぐだよ!』
「…良かった…、」
虎杖くんはそのまま地面に伏せてしまった。野薔薇は腰に手を当ててフンッと鼻を鳴らしてそっぽを向いていた。虎杖くんに一体何の恨みが…?
「おい!伏黒!アンタもいつまで不貞腐れてんの!」
「…………不貞腐れてねぇ」
伏黒くんは顔を上げて野薔薇を眉を寄せて見ると、野薔薇は虎杖くんを軽くつま先で蹴った。虎杖くんの扱いが雑すぎるのでは…?
「さっさと行くわよ!」
そう言って野薔薇は背を向けて歩いて言ってしまった。私もついて行こうとした時名前を呼ばれて足を止めた。
「…苗字」
『ん?どうかした?伏黒くん』
「………………いや、なんでもない。行くか」
『…?…うん!』
伏黒くんは私の頭に手を伸ばして、一瞬躊躇ったように手が止まったけど、すぐに私の頭の上に手を置いて数回ポンポンと動かしてポケットに手を入れて歩き出した。
『ポケットに手を入れて歩いたら転んだ時危ないよ?』
「俺は小学生か……」
呆れたように眉を下げた伏黒くんの表情はいつも通りでお腹の調子は治ったのかな。良かった良かった。
『……あ、虎杖くん置いてきちゃった』
「アイツなら平気だろ」
伏黒くんは時々冷たいなって思ったけど、後ろから虎杖くんが走ってくる音がするから大丈夫だったんなぁなんて呑気に思った。