漫画版 1巻
「中華とか久しぶり!」
「中華なら中華街行きたいんだけど…」
『ちょっと横浜まで行く時間は無いかな…』
「どこでもいいから腹減った」
私たちは4人で中華ご飯屋さんの前に居た。そして虎杖くんはガラッと元気よく開けて中に入っていった。続いてみんなで入ると端の席に通された。
「何食おっかなー!」
「げっ…、ちょっと高いわね」
『野薔薇この間洋服沢山買っちゃったもんね…』
「俺はこれ」
『え、伏黒くんそれ多分結構量あるよ?』
「食える」
『の、残しても私食べれないよ?流石にそんなにお腹に余裕無くて…』
「なんで俺が残す前提なんだよ」
パシって軽く頭を叩かれた。ドメスティックバイオレンスだ。DVだ。
『私!エビチリ!エビリチがいい!』
「残すなよ」
『…………………ご飯、小さめで』
私が小さく呟くと伏黒くんは鼻で笑った。ちょっとムカついたから背中をバシンって叩くと一瞬で頭を叩かれた。私がしたいことバレてた。
『…痛い…。……はっ!伏黒くんは心が読めるんだね!?』
「頼むぞ」
「うぇーい!」
『……無視なの…?』
私がしょぼくれてると伏黒くんが私の代わりに注文してくれた。ご飯少なめで。
「少し高いと思ったけど結構量あるわね」
「スープついてるしな」
「後で杏仁豆腐もくるってよ。サービスで」
「「おおっ」」
『杏仁豆腐…!』
私が瞳を輝かせると伏黒くんはモクモクとご飯を食べ始めた。私も杏仁豆腐の事は一旦忘れてエビリチに集中する。
『杏仁豆腐まだかな〜』
「苗字ってたまに子供みてぇだよな」
「確かに。いつもはお姉ちゃんって感じなのに。お姉ちゃんっていうか遠慮しまくりって感じ?」
『こっ、子供…!?』
私がショックを受けていると伏黒くんが顔を上げたからつられて顔を上げると店員さんが杏仁豆腐を運んできてくれた。
『あっ、杏仁豆腐…!』
杏仁豆腐が届いて私たちの前に置かれて私は目を輝かせた。私はスプーンを持ってもう一度手を合わせた。
『いただきます…!』
杏仁豆腐は本当に美味しかった。やっぱりデザートは人を幸せにする。頬が落ちそう。多分もう落ちてる。
「苗字本当に美味そうに食いよなー」
「名前が食べてる所見ると、普通のおにぎりでも美味しそうに見えるものね」
多分、みんなと食べてるから余計に美味しく感じるんだと思うよ。幼い頃からご飯の時もずっと独りだったから余計に。でもそんな事恥ずかしくて言えないから、今は杏仁豆腐のおかげにしておこう。
『だってこの杏仁豆腐本当に美味しいよ!』
またこうして4人でご飯食べに来たいな、なんて思いながら私はまた杏仁豆腐を口に運んだ。うん、やっぱり本当に美味しいな。