06






「おい、名前」

『はい、なんでしょうか。一郎くん』

「ピーマン残すな」

『残してるんじゃありません。とってあるんです』

「じゃあ後で食うのか?」

『食いません。』

「...今食え」

『嫌です。』

「大きくならねぇぞ」

『...私成人済みなんだけど』

「はっ」

『おい、末っ子今鼻で笑ったな?どこ見て笑った。おい。』


確実に胸を見て笑ったろ。





「いいから、ピーマン食え」

『...なんでピーマンにお肉詰めるの?お肉はお肉だけの方が美味しいよ』

「そういうもんだろ」

『...ピーマン美味しくないじゃん。』

「子供ですか」

『中三に言われたくない』

「はぁ?」

『こっわ!!』

「いいから、ピーマン食え」

『...二郎、あーん』

「え!」

「二郎に食わそうとすんな」

「ご、ごめん、名前さん」




...ピーマン美味しくないじゃん





『はいはい、食べますぅ〜』

「よし。」

『見ないでくださ〜い。食べにくいで〜す』

「わかった、わかった」





よし。





「俺の皿に乗せたらピーマン増やすからな」




目ざとい...

こうなったら!!





『.....』

「...っ」




私は机の下で二郎の足を自分の足でつつくと、二郎は驚きながらこちらを向いた


...一郎はテレビを見てる

三郎は……、まず三郎はこっちに興味ないな


『ねぇ、二郎...』

「な、なに?」




私はヒソヒソと隣にいる二郎に語りかけた



『あのね、』



もちろんここで、二郎の太ももに手を置くのを
忘れちゃいけない。
ふっ。二郎が好きな仕草なんて分かってるんだよ!まぁ、二郎にしか通じないけどな!!
残念だったな!一郎!!




『二郎、はい、あーん』

「え、でも、」

『...食べたくない?』

「そういう訳じゃないよ!」

『二郎に食べてほしいな?...あーん』

「っ、あ、あーん」

「名前」

『げっ』

「目の前でやったら分かるに決まってんだろ」

『.....二郎が食べたいって』

「え゛」

「言ってないだろ。」

『...言ってません』

「はぁ...。とりあえず1つでいいから食え」

『.....半分』

「...わかった。半分でいいから」

『.....』

「何小さいの選んでんだ!」

『...一郎が半分って言った』

「ほら、これ」

『大きいじゃん!!』

「半分なんだから当たり前だろ」





お父さんかよ...





*****


『ってなんでまた食べに来てるの?私』

「兄ちゃんが名前さん呼んで来いって」

『.....絶対また野菜じゃん。』




またピーマンか?
もうピーマンはいいよ。






「ほら、」




まさかの人参!!!!





『はい、二郎!あーん』

「人参もダメとか...。小学生ですか」

『...大人はもう野菜食べなくてもいいんだよ?だから代わりに優しいお姉さんが三郎くんに人参分けてあげるねっ!キャピっ!』

「いりません。」

『あーんしてあげるよ?』

「余計にいりません」

『よ、余計に…』




末っ子が辛辣すぎる。




「少しは野菜食べろよ」

『...食べてる』

「じゃがりことか言うなよ」

『.....サッポロポテト食べてる』

「同じだろ。体に悪いもんばっか食ってんなよ」

『...別に困らないもん』

「...結婚したらどうすんだよ」

「えっ!?」

『いや、なんで二郎が反応してるの』

「名前が料理すんだろ?」

『しない。旦那さんがしてくれる』

「俺!料理できるよ!」

「黙ってろ低脳」

「あ゛ぁ?」




二郎料理できるのか...





『二郎が料理してくれるって!野菜なしの!』

「なんで野菜なしなんだよ...」

『大人になったら野菜取らなくてもいいんだよ!』

「そんな決まりないだろ」

『一郎はまだ子供だから取らないとダメなんだよ』

「...子供かよ...」

『一郎は考え方がお父さんなんだよ』

「いや、兄貴だろ」

『私の方が歳上なんですが』

「僕はこんな姉いやです」

『おい、三男』

「でも実際名前は妹にしか見えねぇ」




え?なに?悪口?





『でも!!私と二郎が結婚したら一郎は弟だよ!!』

「え!?け、結婚!?」






この際テンションの上がった二郎は無視!!




「いや、完全に妹だろ」

「絶対に阻止します。」

『おい、中坊』

「名前さんが、俺の、お嫁さん...」




この家に私の味方はいないの!?





『っ!...もういい!わかった!!』

「は?」

『私が妹でいいよ!』

「逆ギレしてるんですけど」

『いいけど!!野菜は食べない!!』

「...そこに戻るのかよ...」

『野菜!!ダメ!!絶対!!』

「何がダメなのか意味不明です」

『私は!!野菜を出さない旦那様と結婚する!』

「...バカなんですか?」

「やめろ、三郎。言ってやるな」




聞こえてんだよっ!!!




それからは野菜を食べるまで毎日山田家の
晩ごはんに参加することになった。



もちろん食べないけどねっ!!!



『はい、二郎、あーん』

「おい、二郎に餌付けするな」

「え、餌付け...?」

「はっ」

「三郎!笑ってんじゃねぇ!!」



まだまだ山田家との野菜戦争は終わらない。








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