2月18日 30日目




「なぁ!明日も会えへん…?」

『……明日?』

「おん…」



貴方にとっての明日


私にとっての、昨日




「…お、俺、苗字さんのこと、好きやねんけど、」

『…………』




うん、私も大好きだよ。これからもずっと、


もう、貴方≠ノ会えなくても




私達はすれ違ってなんかいない、端と端を結んだ輪になって一つに繋がってるんだよ。2人でひとつの命なんだ。




だから、全然寂しくなんて、無いよ




『…また明日ね!』

「…え?」

『また、明日!』

「…お、おん!また明日!」




嫌だ、離れたくない、ずっと一緒に居たい

今すぐに抱きしめて

私がいれば何もいらないと、そう言ってもう離さないで


無理だと分かっていても、願ってしまう





名前は涙を拭って電車に乗り込むと、走り出した瞬間、崩れ落ちる様に扉に背を預けてしゃがみ込む。




『…っ、…あ、つむっ、…愛してるよっ、』



涙で咳き込むように出た言葉は誰にも届くことは無く、電車の音に飲み込まれていった。






******

『…………』




始発の電車をいつもの駅で降りて名前は改札へは向かわずにベンチに腰を下ろして数分間、周りの景色を眺めると立ち上がって、誰もいない公園の中をゆっくりと周りを楽しむ様に眺めながら過ぎると、電飾が飾り付けられた木々を見上げる。

朝早いせいで色とりどりの電飾はただ、明かりを灯さないまま名前をジッと見つめていた。



その足のままスポーツ店の前を通り、映画館を通ってとある一点を目指した。




ーー侑が一人暮らしをしていたアパート

そして侑からしたら、これから数日後に一人暮らしを始めるアパート




名前は未だ持ち主の無いその部屋の扉に触れて、額をコツリと当てる。


『…………よしっ』




名前は顔を上げて背を向けて歩き出した。








電車が駅に着いて、名前は慌てて乗り込む




『………えっと、』




3両目の2つ目の扉





『……ここだ』




小さく零してその場所に立つと、ゆっくりと視線を上げる。





『…………』





眠そうに大きく欠伸をして、つまらなそうに瞳に涙を溜めて眉を寄せている貴方を見つけた。



外を見てないと、と慌てて視線を逸らしたけれど、自然と浮かんだ笑みを消すことは出来なかった。




ーーやっと貴方に辿り着いた





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