彼のとある1日
「名前〜!あんまり走って先に行かないの〜!」
『わたあめ食べたい〜!』
「ママも行くからちょっと待って〜!」
名前はパタパタと小さな下駄を鳴らしながら走って綺麗に彩られた道を走って進む。
『…あっ!あった〜!ママ!わたあめあったよ〜!』
名前がひとつのお店を指さして振り返った時、近くからシューと何か空気が漏れるような音が聞こえて、音の現況を探すようにキョロキョロと首を動かすと突然の浮遊感に襲われて体が温もりに包まれる。
「きゃぁあああ!!」
足が時点に着いた時に後ろで爆発音が響いて名前は目の前の温もりにしがみつくと、応えるように体を抱きしめられる。
「…もう大丈夫やで」
そう言って名前の頭を撫でた男は立ち上がって背中を向けてしまった。名前は慌てて立ち上がって声をかけた。
『ねぇ!………また会える?』
「…………おん、また会えるで」
男はまるでその言葉を噛み締めるように唇を結ぶと、瞳を和らげて去って行ってしまった。
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