2月25日 8日目
「……合宿?」
「何驚いてんの?前から決まってたじゃん」
「…合宿って何泊やったっけ?」
「えっと…、2日後の明後日から3泊4日だね」
「…長すぎやない?」
「合宿だからね」
バレーの練習着に着替えて角名の隣でサポーターやシューズを履いとると衝撃の事実を聞かされた。
「名前と会えへんやん!!」
「合宿だからね」
「遠距離やんか!!」
「合宿だからね」
「一緒に飯食えへん!!」
「合宿だからね」
俺が項垂れると角名はジッと俺を見てほっそい目をさらに細めた。
「………侑はバレーと彼女どっちが大事なの?」
「なんやその面倒臭い女の2択は」
「どっち?」
「どっちも大事やで」
「うわ、最悪な答え。浮気者、尻軽」
「なんでやねん!」
角名の肩をどつくと、わざとらしく肩を抑えて蹲った。それすらも腹が立ったから更に背中も殴っといた。
「俺はバレーも名前も大事にすんねん。名前と居る時は名前が1番で、バレーをやっとる時はバレーが1番。それ以外の時はどっちも1番や!」
「………浮気男の常套句」
「はァん!?」
角名はそう言うと立ち上がって先にコートへと入っていった。俺もシューズの紐を結んで立ち上がり、つま先をコンコンと床にぶつけて走り出した。
「なぁ!このシューズなぁ!?彼女と選んでん!」
「何回も聞いた!しつこい!」
角名は青筋を浮かべて珍しく怒鳴ると俺に向かってボールを投げてきた。
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