目は飾り
走馬灯で久しぶりに感じた神様の温もり。やっぱり私にはあの人しかいない。私の醜い姿すら面白がってくれたあの人、呪術師という価値を見出してくれたあの人
『だからこそ、絶対に五条悟は殺すよ。だって、オマエが私の神様を殺したんだもんね』
「…………………随分と男の趣味が悪いみたいだね、名前」
『あれ?思い出した?』
思い当たる節があったのか五条悟は眉を寄せていた。まぁ、思い出したから何?って感じなんだけど。人殺しが
「…苗字、」
伏黒くんに名前を呼ばれた気がするけど、そんな事はどうでもいい。私は五条悟を殺して自由にならないと。
「悪いけど、僕もちょっと本気出させてもらうよ」
『殺す気で来てよ、五条先生=x
すると五条先生は姿を消した。うん、大丈夫。後ろだよね。
「…………へぇ、よく反応したね」
『ありがとうございます』
私の両脇には野薔薇と伏黒くんがいた。なら後ろから狙うなら私の真後ろしかない。だって大事な$カ徒は傷つけないだろうから。
『……ちょっと戦いずらいね。壊しちゃおうか』
「壊しちゃっていいの?学長来ちゃうんじゃない?僕よりおっかないよー?あの人」
『大丈夫ですよ。校舎を壊そうと学長は来ません。だって今京都でしょ?』
「……やっぱり知ってて仕掛けたのか」
『さとるくん、壊せる?』
私が問いかけるとさとるくんは私の真後ろから真っ黒なモヤから姿を表して天井、壁を全て壊してくれた。ここが1階で良かった。2階とかだったら下まで貫かないといけなかったし。
『はい、広くなりましたよ。術式使ったらどうですか?』
「……」
『それに私は生徒から離れました。使うなら今ですよ』
きっと大きすぎる術式を使わなかったのは私の周りに野薔薇や伏黒くんがいたから。本当に面倒だね。教師ってやつは。
「なら有難く使わせてもらおうかな」
「待ってください五条先生…!相手は苗字ですよ!?」
「そんな事言ってる場合じゃないの恵なら分かるでしょ」
「けど…!」
五条先生は人差し指を立てた。それに合わせて私も人差し指を立てる。まぁ、使えないけど。分かる≠ゥらさ。
「『術式反転 赫』」
私が同時に唱えるから流石に焦ったらしい。でも術式は私目掛けて放たれた。
「五条先生…!!」
「…………」
「名前…!!」
『…………分かっちゃえばなんてこと無いんですよ』
「………………」
辺りは更地になってたけど、私にはさとるくんが居るから。さとるくんは私を守ってくれるから。だから今もこうして私はさとるくんの腕の中で生きている。
「………説明は?してくれるの?」
『して欲しいですか?まぁ、してもいいですけど。さとるくんって元々は覚≠チて妖怪からきてるんです。知ってます?覚。人の心を読む妖怪です。私はさとるくんを通じて相手の心が読めるんです』
「……それはまた、凄い能力だね」
するとバタバタと五条悟の後ろから見慣れた姿が現れた。
「おい!これどういうことだよ!」
「すじこ!?いくら!」
「校舎半分無くなってるじゃん!」
ちょうどいい所に来てくれたなぁ。本当に後輩想いで泣いちゃいそう。特に狗巻先輩なんて、
『狗巻先輩』
「……明太子…!?」
「ッ!棘!逃げろ!」
残念だけど五条悟の声が遅すぎたね。もう狗巻先輩は私の腕の中。彼の耳元に唇を寄せて聞こえるようにハッキリと声に出す。
『私、狗巻先輩の呪言≠セーいすきっ』
「ッー!?」
「あぁぁあああぁぁぁあああぁぁ!!」
私の後ろに付いているさとるくんが大きく叫ぶと狗巻先輩の体からは力が抜けて崩れ落ちる。隣にいたパンダ先輩と真希さんは慌てて狗巻先輩の体を支える。
『おっと、』
「…おい、名前どういうつもりだ」
『真希さん怖いですよ』
私は後ろに飛んで距離を取り、まだ怒っているさとるくんの頭を寄せて撫でる。
『ごめんね、さとるくん、でも私、狗巻先輩の呪言@~しいな。…………かして?』
「あげるッ!あげるからっ、あげるから、愛してぇ…!?」
『…ありがとう。もちろん愛しているよ?』
そして私は、私と戦おうとしている真希さんとパンダ先輩に向かって口を開く。
『ーー眠れ』
私が呪いを込めてそう言うと真希さんとパンダ先輩は不意を突かれたせいか地面に倒れ込んだ。すると五条先生が私を見て少し考え込んでいる様だった。まぁそれも分かるんだけど。五条先生は分かって無いみたいだけど。