胸が綿菓子みたい
「……それで無事、付き合ったと?」
『…………はい、』
「…………おう」
朝イチに野薔薇に呼びされて2人で食堂に向かうと、野薔薇が顎でそこに座れ、って凄むから私は椅子の上で正座を強要された。伏黒くんだけ床に正座させられてた。ちょっと嬉しい。
「………まぁ、おめでとう」
『あ、ありが、』
「なんて言うと思ったか!?バァカ!」
「……情緒不安定か、オマエ」
「はぁん!?」
野薔薇は何処から出したのか分からないハリセンで伏黒くんの頭を叩いていた。伏黒くんは首がガクってなってたから結構痛かったんだと思う。
「モタモタ、モタモタ見ててじれったかったのよアンタたち!」
『す、すみません…?』
「ちゃんと真希さん達にも報告しなさいよ!」
「なんでだよ…」
野薔薇はまた伏黒くんの頭をハリセンで叩いてた。多分、あんまり意味は無くてストレス発散だと思う。そしたら野薔薇がビジッと伏黒くんを指さした。
「それから伏黒!!」
「…………なんだよ」
「名前を泣かせたらアンタのこと呪うから!!」
『野薔薇っ……!!』
嬉しいけど、私もう伏黒くんに2回泣かされてるの。
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「……………」
『……大丈夫?』
野薔薇は朝食も食べずに食堂を出て行くと、私達は痺れた足を解しながらいつものようにご飯を食べた。痛そうにしてる伏黒くんが可哀想でデザートのプリンを1口差し出すと、彼は無言で食べた。余程痛かったらしい。
「………まぁ、釘崎には面倒かけたからな」
『本当にいいお姉ちゃんだよね』
きっと野薔薇がお姉ちゃんだったら一緒にショッピングとかして楽しい。私がそう言って笑うと伏黒くんは思い出した様に私を見た。
「津美紀は俺の姉貴」
『……………へ、へぇ〜』
「何か勘違いしてたんだろ」
『べっ、別にしてませんけど…!?』
伏黒くんがジト目で私を見るから居心地が悪くてプリンに視線を落とした。伏黒くんも悪いと思う。だって好きなタイプ聞かれてお姉さん答える人居る?居ないよね。
『…………伏黒くんシスコン…?』
「なんでだよ」
『だって、好きなタイプでお姉さん答えるって…』
「お前の前の神様はクソ野郎だろ」
『クソ…!?……そっ、そうだけど…!でも顔はかっこよかったもん!』
否定出来なくて悔し気に唇を噛むと伏黒くんは私のプリンをもう一口奪った。私のプリンなのに!
『私のプリン!』
「……なんかムカついた」
伏黒くんに食べられる前にプリンを完食して2人でプレートを持ち上げた時に伏黒くんがなんでもない様に口を開いた。
「それに俺の好きなタイプが苗字じゃないとは言ってないだろ」
『………………』
なんか胸の辺りがむず痒くなったから伏黒くんの腕に軽く体当たりをすると片手にプレートを持ち替えた伏黒くんに頭を叩かれた。今度野薔薇にハリセン借りてこようと思います。