寝ても覚めても神様
「おっ、戻ってきたな」
私が先輩や野薔薇の元へ戻ると、真希さんと野薔薇は新しいおもちゃを見つけたようにニヤニヤと笑って私を出迎えた。
「でも戻ってくるには早かったわね」
「恵とどうなったんだよ」
「…え?え?俺よく状況分かってないんだけど」
「おかか」
パンダ先輩と狗巻先輩の背中に隠れると、真希さんは私を指さして顎を少し上げた。
「恵と名前が付き合うんだってよ」
「えぇ〜!?そうなのか!?」
「すじこ!?」
『違います!どうしてそうなるんですか!?』
「だって、そうでしょ?」
『違うよ!』
私が慌ててパンダ先輩の後ろから顔を出して否定すると野薔薇はキョトンと首を傾げた。
『ふっ、伏黒くんの事はもちろん好きだよ!でも私は野薔薇のことも先輩たちの事も好きだよ!』
「あー、そういうの要らねぇって」
「そうそう!少女漫画みたいなのはいらないのよ。私は初心な反応してるアンタ達をからかいたいの」
『かっ、からかいたいの…!?』
驚きの言葉に思わず繰り返すと野薔薇は「で?」と返した。で?とは…?
「付き合うの?付き合わないの?」
『つ、付き合わないよ…、どうして付き合うって事になるの…』
「アンタら両想いなんでしょ?」
『…………両想い?』
「………え?……え?真希さん!」
「い、いや、私に振るな!」
私の反応に2人は慌ててコソコソ話を始めた。私は首を傾げてパンダ先輩と狗巻先輩を見上げると2人は顔を見合わせて気まずそうに私に視線を戻した。
「………名前は恵が好きなんじゃないのか?」
『…………………好き?…私が伏黒くんを?』
「違うのか?」
パンダ先輩は首を傾げてそう聞くと私は首を横に振った。
『好きですけど…、多分先輩達が言ってる様な好きでは無いです』
「………本当に?」
『本当に、です』
私が迷わず答えると先輩と野薔薇は目を見開いた。
『だって伏黒くんは私の事好きじゃないですし、私だって伏黒くんの事はそういう意味では好きじゃないです。それに私は人を好きになっちゃダメなんですよ』
私はいつもの¥ホみを浮かべて言った。
『私の想いは重い≠ナすから。私が伏黒くんを好きになったら、伏黒くんが潰れちゃいますよ』
どうしてみんなが驚いた顔をしたのか私には検討がつかなかった。