29話 本当の対面
必死に刀を振るう。乗客に触れそうになる前に斬る為に剣を振り下ろす。
『師範!起きてください!……師範!!』
「名前か!!」
『うわぁ!起きた!?』
「む?これはどういう状況だ!」
『ぎゃあぁあ!!近い!!危ない!!』
肉の塊を斬りながら師範に呼びかけていると突然大声で名前を呼ばれ、ビクリと体が揺れ目の前に師範の顔がドアップで映し出される。
「よもやよもやだ!居眠りをしている間にこのような事態になっていようとは!!柱として不甲斐ない!穴があったら入りたい!」
『師範!!この汽車には下弦の鬼が居て、その鬼はこの汽車と融合しています!』
「……うむ!了解した!名前はこのまま三両を守る!俺は竈門少年と猪頭少年に話をしてくる!」
『はい!』
師範は刀を構えて炎を纏いながら先頭車両の方まで駆けて行ってしまった。
「名前!」
『ウワァア!!驚かせるのやめてください!』
炭治郎達に伝えに行ってからそんなに時間は経っていないのに戻ってきた師範は私の目の前に瞬間移動の様に現れた。
「鬼の首は竈門少年と猪頭少年に頼んだ!俺達は後方五両を守る!」
『はい!』
「それと同時に鬼の首も探りながら乗客を守る!誰も死なせない!」
『はい!!』
私は刀を握り直し、気合を入れた。
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「ギャアァァァアアァアア!!」
『っ!』
「ーっ、このままでは横転する!!衝撃を最小限にする」
『はい!』
師範と共に技を繰り出し必死に被害を最小限にする為に呼吸を整える。
『ーぅ゛っ、』
激しい揺れに耐え、手が千切れそうになろうと剣を離さないように手のひらに力を込める。
「俺は竈門少年と猪頭少年の所へ行く!名前は怪我人の確認を頼む!」
『はい!』
私は師範とは逆の方向に足を進めて、師範の命令に反して善逸と禰豆子ちゃんを探す。
『っ、善逸!禰豆子ちゃん!!』
「ムーッ!」
『…無事だね!良かった』
善逸の額からは血が流れていたが、出血量も少なく命に別状は無かった。
『禰豆子ちゃん!悪いんだけど怪我人の確認をお願い!』
禰豆子ちゃんが頷いたのを確認して私はすぐに立ち上がり、森の中を走り回る。
『っ、どこだ!ーーーーー猗窩座!!』
私が大声で猗窩座の名を呼ぶと一瞬にして目の前に上弦 参の文字が見えて慌てて体を捻る。
『ーっ、』
「いい反応だ。それに俺の事を知っている様だ」
『………猗窩座!!!』
「そんな大声で呼ばなくても聞こえる」
そう言って猗窩座は愉快そうに笑った
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