1話 こうして始まった




少しだけ私の話をさせて欲しい。


私ーー、苗字 名前は今の時代、大正時代の人間ではない。そして何より、私が居るこの世界は漫画の世界だ。


何の話をしているのか分からなくなってしまっても仕方ない。私だって混乱している。この世界は人気漫画の鬼滅の刃の世界だ。私だって漫画を読んでいた。そして私は成人済みの筈なのにこの世界に来てからはどうだ。体が縮み、歳は大体13.4といったところだ。けれど思考は成人済みした時のまま。



つまりはリアル見た目は子供、頭脳は大人状態だ。ふざけないで欲しい。私は怪しい薬を飲んだ覚えは無いし、黒ずくめの男達を追っていた覚えも無い。



『………ここ、何処?』



最初は夢だと思ったし、目を覚ました時に居た場所が和風の建物に囲まれた街中のど真ん中で、あぁこれは夢だなと思った。



『……寝る前に音のソノリテ○見たからかな。だから奈良か京都の夢見てるの?……でも特集されてたの北海道だったんだけど…』



真夜中のせいか辺りは真っ暗で人っ子一人居ない街中に最初はテンションが上がった。もしかしたらイケメンと会えるのでは!?なんて事態を軽く見ていた。



「……君は誰だ!?」

『…へ?……………うわぁああぁぁ!?』




街を1人で歩きながら辺りをキョロキョロと見ていたら突然耳元で大きな声がして顔を横に向けると後の師範である煉獄杏寿郎が私に声をかけたせいか中腰で立っていた。




『…え?……え?』

「君みたいな子供が夜中に出歩くのは感心しないな!」

『こっ、子供!?』



私の目の前には鬼滅の刃のキャラクターである煉獄杏寿郎が居て、しかも私の事を子供と言った。


『しっ、失礼な!私は貴方より年上です!!』

「む?」

『既に働いてるし!20歳超えてるし!』

「……それはすまなかった!それで親や兄妹は?迎えに来ないのか?」

『迎えも何も私は成人済みで!しかもこれは夢だし!…………あれ?』



怒りから煉獄さんを指差しながら夜中だと言うのに大声で怒りをぶつける。大声上げようがこれは夢なのだから関係ない。それよりも私が気になったのは袖の長さだった。



『……あれ?このパーカーってこんなに大きかったっけ?』

「君は変な格好をしているな!」

『……なんか、手小さくない?……ズボンも裾余ってるし…、………え?』




私は慌てて近くにある桶を覗き込む。中には水が溜まっていて自分の顔が見れた。




『……………なに、これ、』




冒頭で話した通り、私は見た目は子供、頭脳は大人状態になっていたのだ。






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