SECONDG


『あ。侑だ』

「名前は風呂まだなん?」

『私は最後に入るよ』

「……最後?」

『うん』



晩御飯を食べ終わり名前が大量の洗い物を終わらせて配膳室を出ると、丁度風呂上がりのタオルを首にかけた侑が居た。



「…俺らと同じ風呂入るん?」

『え?ここって何個もお風呂あるの?』

「…………無いな」

『あったとしても私だけの為にお湯を貯めるのはちょっと…、』



名前がそう言うと侑は考える様に腕を組み、指を顎に当てた。その姿を見て名前は首を傾げる。



『どうかした?』

「…………いや、俺が入った後入るって、」




侑はパッと顔を上げてパァッと笑いーーー





「なんか興奮すんな!!」





名前は表情を消して無言で侑の鳩尾に1発入れると静かにその場を後にした。



******





「………名前、」

『…………なにか御用ですか?』

「なんでそんなに距離とるん!?」

『…身の危険を感じて』

「意識して欲しいけどそうやない!!」



名前がお風呂に入る為に向かっていると、風呂場近くのベンチに座っている侑に気付き距離を取る。




『…それで、何か用事?』

「あ、せや。これ」

『……Tシャツ?』




侑は手に持っていたTシャツとズボンを名前に渡す。名前が訳が分からず首を傾げる。



「名前ジャージ持って来とらんやろ?やから俺の貸したる」

『確かに部活に参加する予定無かったから私服とパジャマしか持って来てないけど…』

「やから貸したる!」

『でも侑が着るの無くならない?』

「俺は大量に持って来とるし、ここ洗濯機あるから平気や」

『じゃあ、有難くお貸しします』

「いえいえ〜、こちらこそ」




侑のこちらこそ、の意味は分からなかったが名前は受け取ると侑は楽しそうにニコニコと笑っていた。



『それじゃあ私はお風呂入るね』

「本当は夜に名前の部屋行きたいんやけど、俺主将やからな〜、立場的にあかんわ」

『話なら明日も出来るし、練習キツイんだからちゃんと休んで』

「せやな〜」



名前はきちんと考えている侑に、当たり前だが侑が高校生に成長しているを感じ、そして同時に嬉しくなった。


『……侑』

「なんや?」





名前は侑を呼んで中腰にさせると、金色に近い髪色に手を置いて子供を撫でるかの様に優しく手を動かし、微笑んだ。




「…………は、」

『主将になった侑は前以上にかっこいいね』

「……………へ?」

『何かあったら何でも相談してね。おやすみ』

「おや…、すみ、」




名前が上機嫌に脱衣所に入ると、侑は呆然としたまま自分の頭に触れた。



「………」



そしてさっきの名前の行動を思い出し、人知れず顔を赤くし、子供の様に本当に嬉しそうに微笑んでいた。




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