SECONDF


『3食飯付きって学校の近くにコンビニがあるからそう言ったんだね』

「え?ちゃいますよ」

『え?』

「俺らも学校に泊まるんで晩飯は俺らと一緒ですよ」

『………もしかしてそれを作るのって』

「名前さんですね」

『……………治さん』

「なんですか?」

『その為に私を呼んだね?』

「はい」




名前は唇を噛んで治を睨み上げるが治は視線を逸らし体育館の天井を見上げていた。




*******



『………量えげつない』




名前は夕方というには早い時間に1人で配膳室で小さく愚痴を零しながらトントンと包丁でまな板を鳴らす。




『……まに、あった、』




辺りが暗くなり、足音が響き始めた頃に名前は食事の準備を終わらせる事が出来た。



「名前〜!!」

『…侑は元気だね』

「だって名前の手料理やん!」

『命かけて作ったので味わってください…』




名前が疲れきった顔で配膳をしていくと最初に来ていた筈の侑が1番最後に配膳に並んでいた。


『…あれ?最初に来てたのに』

「ん?俺が最後やから名前も一緒に飯食えるやろ?」

『でもおかわりする子居るかもだし…』

「そんなん自分でやらせたらええねん。飯食おうや」

『……大丈夫かな、』

「平気平気〜」




軽い口調で答えると自分の分と名前の分の配膳を受け取り空いている席に着いてしまい、慌てて名前も侑の隣に腰を下ろす。すると前の席にいた治に声をかけられる。



「あ、名前さん来たんやな」

『うん、おかわり大丈夫?』

「それくらい自分で取りますよ」

「………」

『侑?どうかした?』

「……よくよく考えたらここの全員が名前の手作り飯食うとるんよな」

『え?まぁ、そうだね』

「……全員の口縫うてきてええ?」

『ダメに決まってるね?』



名前はそう言って自分が作った味噌汁に手をつける。



「………」

『……えっと、角名くん、私の顔になにか付いてる?』

「目と鼻と口が付いてます」

『自分の顔が正常で安心した』

「おい!角名!名前の事見んな!」

「……侑って本当にこの人が好きなの?」

「やったらなんやねん」

「……意外だなって」

『激しく同意』

「なんで名前が同意しとんねん!」

『侑は早くご飯食べなよ』

「分かっとる、」



侑は狼狽えながらそう答えるとゆっくりと味噌汁に手をつける。



「………美味い」

『それは良かった』

「…ほんまに美味い」

『ははっ、分かったって』




名前が笑って侑の方へと顔を向けると、侑は頬を染めて少しだけ眉を寄せて恥ずかしそうに味噌汁を飲みながらまた小さく「…美味い」と零していて、名前は侑の熱が移ったかの様に少し頬を染めて静かに持っていた味噌汁に口を付けるのが恥ずかしくなり、白米に手を付けた。




「………」



そんな姿を角名がじっと名前を見ていた。




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