SECOND67 [完]


「とりあえず!今からはデートや!正真正銘のデート!」

『こっ、声が大きい!恥ずかしいからっ!』




ファミレスでお互いに食べたいものを食べ終わると侑はそう言ってガタリと立ち上がった。名前は慌てて声を潜めて注意するが侑はキラキラとした瞳で名前を見下ろした。



「行くで!デート!」

『わっ、分かったから…!デートを連呼しないでっ、』



会計の為にレジに向かう侑を慌てて追って、会計を済まして外へと出ると侑は名前の手を取り、指を絡めた。その手があまりに熱く、けれど触れ方はゆっくりと優しくて名前は思わず侑を見上げた。



「ほんまに名前が俺の彼女かぁ〜…、」



前を見たままそう言った侑の表情があまりにも嬉しそうで名前は目を見開いた。すると侑はゆっくりと名前を見ると、寒さとはまた別で赤くなった頬をゆるりと緩めて愛おしそうに目を細めた。





「……ほんまに嬉しい」

『…………』




まるで砂糖菓子の様な甘い表情に名前はヒュッと息を飲む。侑は返事は求めて居ないのかすぐにゆったりとした足取りで歩き出した。




『…………』



名前はグッと唇を噛んで、立ち止まると手が引かれて気付いた侑も振り向いて立ち止まる。名前は下を向いたまま緊張を和らげる様に息を吐き出すとゆっくりと顔を上げた。




「……、名前?」





その顔があまりにも真っ赤で侑は目を見開いた。けれど名前はそんな事を気にしている余裕は無く、震える声で小さく、そして早口気味で言葉を紡いだ。





『…私も侑とお付き合いができて、嬉しいデス…、』

「………は、」




名前はそれだけ言うと侑の手を引く様に歩き出した。それに引っ張られて侑がついて行くと次第に状況を理解したのか頬の赤みが増して唇をグッと一文字に結ぶ。





「………急にデレんの止めや。心臓止まるかと思ったわ」

『……た、たまには、素直になってみようかな、って…、』

「………あ〜………、あかん、」





侑は頬を赤く染めたままへにゃりと笑った。名前はそれに気付かず前を見て目的地へと足を進めていた。そして侑は噛み締めるように小さく言葉を吐いた。




「……俺、幸せすぎや、」




侑が繋がれた手にキュッと力を込めると、名前も弱い力ではあるが、確かに応えるように力を込めた。その事にまた侑は頬を緩めた。2人の歩く後ろには寄り添う様に繋がれた手のひらが影を作っていた。




宮侑に憎まれる SECOND 完結



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