SECOND63
『おぉ!山口くん1番が似合ってるよ!』
「そ、そうですか…?でもやっぱり、照れます…」
『このメンバーじゃあ山口くんが1番まともで大人だよ!自信持って!!』
「……それは褒めてるんですか?」
「え、えへへ」
「山口もそれでいいのか…」
縁下から1番を譲り受けた山口に縁下は眉を下げて笑うと、名前の後ろに月島が現れてドスッと鈍い音を立てて手刀を落とした。
『いっ、……たい、』
「すみませ〜ん、小さくて見えませんでした〜」
『手刀落としておいて見えませんでしたは通らないんじゃないかな!?』
名前が頭を抑えて振り返ると月島はニヤーっと口元を歪めて名前を見下ろしていた。
『………月島くんはお子ちゃまだな』
「……はァ?」
『……あ、分かった!月島くんも褒めて欲しいんでしょ〜?新しいユニフォーム!』
「新しいってただ番号変わっただけですけど」
『そんな事言っちゃって〜!素直になりなよ〜!』
「きもいです」
『きもいです!?』
名前が月島に襲いかかろうとした時後ろから首根っこを掴まれて蛙が潰れたような声を出した。
『ぐぇっ…』
「お前、歳なんだから少しは落ち着けよな」
『繋心くんの方が歳だけどね!?私からしたらお爺ちゃんだけどね!!』
「それは武田先生への挑戦状か?」
『武田先生は歳を取らないんだよ!ばーか!』
「小学生か、お前…」
烏養は呆れた様に息を吐くと、縁下達に視線を送る。
「…卒業まであと1ヶ月か。まだ早いが…、おめでとう」
「ありがとうございます」
『縁下くん!木下くん!成田くん!おめでとう!』
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
名前は烏養に首根っこを掴まれたままそう言うと、感慨深そうに、は〜と息をこぼす。
『あんなに小さかった子がこんなに大きく…』
「親戚か」
烏養の言葉を無視して名前はスマホを取り出して縁下達に向け、写真を撮り確認すると同時に通知を告げられる。
『……………げっ、』
メッセージの相手は、侑だった。
ーー卒業まであと1ヶ月 約束破るなよ
名前はそっと携帯の電源を消し、気恥しさを隠す様に月島にだる絡みを始めた。
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