SECONDD
『………嘘でしょ?』
「これから4日間よろしくな!」
『……いやいやいや、……え?』
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時の流れは早いもので、綺麗な桜を咲かせていた木は緑色の綺麗な葉になりかけた頃に治から連絡が来た事が全ての始まりだった。
「俺ら再来週から夏休みなんです」
『へぇ〜。良かったね』
「神戸来ません?」
『でも部活あるでしょ?』
「1ヶ月後に神戸来てもらえれば3食飯付き寝床ありでタダですよ」
『……え?』
「しかも好きに神戸を観光できます」
『……………怪しいサイト?』
「安心安全の宮サイトです」
『…3食飯付きの寝床付きでタダ?』
「はい」
『…………』
そして治の言う通り、1ヶ月後に指定された稲荷崎の最寄り駅に降り立つと双子が名前を出迎えた。
「お久しぶりです、名前さん」
「やっと戻って来よったな!」
『連絡は取ってたけど会ったのは久しぶりだね〜』
「んじゃ行くで〜」
『え?何処に?てかなんで2人はジャージ?』
「手繋いで行こうな〜」
『あれ?私と侑って話してる言語違うっけ?』
侑はそんな名前を無視して手を取ると指を絡めて恋人繋ぎをすると、頬を染めて名前の顔を覗き込む。
「……ほんまに嬉しいわ」
『…………おん、』
「俺が居るの忘れないでもろえます?」
『わっ、忘れてないけど!?』
「迎え来るの俺だけでええって言うたやろ!」
「俺が連絡取ってたんやぞ」
そんな会話をしながら歩いていると見慣れた光景になり、名前は顔を引きつらせる。
『ちょっ、ちょっと待って!?』
「はよせんと遅刻してまう」
『いやいや!?おかしい!おかしいよ!?』
そして見えてきたのは2人の通っている学校
「稲荷崎に到着や〜!」
「懐かしの母校ですね」
『私の母校は烏野だけど!?』
名前がそう言うと少し前を歩いていた2人は足を止め振り返り、ニヤリと顔を歪めた。
「これから4日間の合宿頑張ろうな〜?」
「みんなには説明済みなんで心配いらないですよ」
『はぁぁぁあ!?』
体育館に入り、冒頭の会話が繰り広げられたのだった。
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