SECOND57


「まずは俺以外とキスしたらあかん。勿論それ以上なんて以ての外やからな」


侑は人差し指を立てると名前の目の前に移動させた。そして中指を立て、「ふたつめ」と言った。



「男と2人っきりになったらあかん」

「器小さっ…!」

「彼氏でも無いのに偉そうやな」

「外野は黙っとれ!」



侑はグワッと2人に言い放つと続けて薬指を立てた。



「…俺の高校卒業と同時に付き合う」

『………』

「返事はYESかはいやで」

「こいつが言うとほんまに間違えた様に聞こえんな」

「侑、英語使いたいのは分かるけど、それじゃあ同じ意味だよ?気付かれない内に言い直した方がいいよ。サラッと言えばバレないから」

「わざとや!馬鹿にしすぎやろ!」



名前はグッと唇に力を入れて、フーっと息を吐き出す。すると侑がゆっくりと名前の方へと顔を向けた。



『………分かった。……でも、私からも1つ条件出していい?』

「ええやろ。ツムは3つも出したんやから1つくらい」

「当たり前だよね」

「なんでお前らが答えとんねん!………なんや、条件って」



侑は唇を尖らせながら聞き返すと名前は侑と同様に人差し指を立てた。




『好きな人が出たらすぐに言うこと』

「……はァ?」

『約束したからって他に好きな子が出来ても言わない、とか無しね!あれ?もしかして?って思った時点で伝える事!それが条件!』




名前はそう言うと胸を張ってフンっと鼻息を漏らした。すると侑は眉を寄せて両手で頭を掻きむしった。



「……ぁぁあああ〜!!ほんまに分かっとらんな!このクソババアは!!」

「ツム、ハゲるで」

「ハゲへんわ!…………分かったわ。条件飲んだる」





侑の言葉に名前は安堵の息を零すとビシッと侑は人差し指を名前の前に突き出した。



「けどな!そんな条件意味無いで!お前は俺を甘く見すぎや!」




侑はそう言うと少し呆れた様に肩をストンと落として名前の頭をゆっくりと撫でた。その表情は呆れているのに瞳は角砂糖の様に甘さを含んでトロンと目尻が下がっていた。




「…俺の気持ちは絶対に変わらん。その自信しか無いわ」

『…………あ、そう、』

「名前さん照れたな」

「照れ方下手くそ過ぎでしょ」

『うっさい!クソガキ!』

「侑のクソババアは苗字さんのが移ったんだ」





侑は名前の隣で楽しそうにメニューを開いて「何食おっかな〜」と鼻歌を奏でていた。そんな侑を見て治は「浮かれ過ぎやろ…」とジト目で片割れを見つめた。







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