SECOND52


「名前さん見たい所あります?」

『…何があるか分からないから治が行きたい場所に連れてって』

「了解です」




2人は街に出ると談笑を交わしながら人の合間を縫って進んでいく。




「…なんで、手なんか繋いどんねん」

「……」

「あっ!カッコつけて車道側なんか歩いとる!他の女にあんな事せんやろ!なに名前を女扱いしとんねん!」

「……」

「あんなババアを女として見とるってやばないか?あいつ」

「……あのさぁ、それ全部自分にブーメランじゃない?」

「俺はええんや!!」

「えぇ〜…」




角名はそう言いながら先を行く2人をカメラでパシャパシャと取り続ける。



「何撮っとんねん!やめろや!あの2人がカップルみたいやろが!」

「実際周りから見たらカップルじゃん」

「ちゃうわ!!」

「侑、情緒不安定過ぎ」




角名は歩きスマホをしながら画像をポンポンと治に送る。けれど治は名前との話に夢中なのか通知に気付く様子は無かった。



「……え、治達が入っていくのスポーツ用品店じゃん。デートでそれは無いわ。流石侑と同じDNA流れてるだけあるね」

「………サムの奴、………………やるやん」

「はァ?」





侑の表情は本当に悔しそうで角名は口を開いて歪めて低い声で首を傾げた。




『………』

「ここの店めっちゃデカいんですよ」

『………あのさぁ、治』

「はい?」




角名は名前が俯いて低い声を出して震えている姿に内心、同情していた。




「…良かったね侑。デートでスポーツ用品店選ぶ男と付き合いたい女は居ないと思うよ」



角名がそう言って侑に視線を移そうとした時、名前はバッと顔を上げた。その表情はキラキラとしていた。




『私ここのお店来たかったの!!』

「おぉ、それは良かったです」





角名は珍しく目を見開いて唇を半開きにしていた。すると侑が唇を尖らせて眉を寄せていた。



「……名前は下手なデートスポットよりこっちの方が喜ぶねん。ムカつくことに烏野の奴らの為に色々勉強しとるんやて」

「…………流石双子が惚れるだけあって変な人だわ」




名前は楽しそうに繋がれた治の手を引いてキラキラとした瞳でブースを回って行く。



『あ!冷却スプレー大きい!…新作のテーピング!』

「そのテーピングはおすすめですよ。しっかり固定されるんで」

『本当!?』




名前と治はまるでLEDのライトアップを見ている恋人達のように楽しそうにキラキラと瞳を輝かせて繋がれている手のせいで甘い雰囲気が漂っている様だった。



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