SECOND45
「ふんふふ〜ん」
『…ご機嫌だね』
鼻歌を歌いながらさ校舎を進む侑とは対照的に斜め後ろを顔を隠しながら歩く名前は出来るだけ人の目に当たらないように侑の背中に隠れるように歩く。
「あっ、せや!サムんとこ行ってもええ?」
『いいけど…』
「自慢しに行こ!」
『…なんの?』
「ん?俺と名前がデートしてるって事!」
『なんの自慢にもならないと思うけど』
今にもスキップをしだしそうな程楽しそうな侑に引っ張られる様に手を引かれ半分駆け足で治の教室へと向かった。
「あれ?名前さんや」
『こんにちは』
「何食います?」
「おい!俺無視すんなや!」
『ここはなんのお店なの?』
「焼きそば屋です」
『……焼きそば以外に何かある?』
「焼きそばだけですね」
『なんで何食べるか聞いたの?私がカレーって言ったらどうするつもりだったの?』
「焼きそば出しますね」
「無視すんな!!!」
治はまるで侑が見えていないかの様に名前だけに声をかけて、案内をすると侑は名前に手を引かれながら椅子にかける。
『じゃあ焼きそば貰おうかな』
「分かりました」
「俺はお好み焼き!」
「すぐ持ってきますね」
「お前に耳は無いんか!?」
『お好み焼き無いし、嫌がらせしないの』
「嫌がらせちゃうし!」
『侑も焼きそばでいい?』
「俺要らんから半分こしようや」
「…焼きそば2点ですね〜、かしこまりました〜」
「1個や言うとるやろ!!クソサム!!」
舌打ちをした治は侑を睨みながら裏方に下がると、侑は苛立った様に腕を机に乗せて出された水を飲んだ。
「…明日な、午後からは一緒に回れそうやねん」
『そうなの?』
「やから、午後からは一緒に回りたいんやけど」
『…いいの?2日しかないのにどっちも私に時間使っちゃって』
「2日しかないから名前と居りたいねん」
侑は肘を付いてその上に顎を乗せるとあざとくコテンと少しだけ首を傾げた。
『……あざといなぁ』
「可愛ええ?」
『………可愛い』
「よっしゃ」
侑はそう言ってニシシと笑うと名前を隠す様に上体を差し込まれ焼きそばを置かれて顔を上げると、治が青筋を浮かべていた
「イチャイチャすんなら出てけや、ブス」
「はァ!?お前の方がブスやろが!」
『いや、同じ顔…』
すると2人は名前に見て、声を揃えて「「ちゃうわ!!」」と言った。
「さっさと食って名前さん送って来いや」
「分かっとるわ!」
『本当に送ってもらわなくて大丈夫だから!練習あるんでしょ!?』
「練習言うても自主練なんで大丈夫ですよ」
「むしろ名前と居った方が調子出んねん!」
『…………』
きっと嘘がないであろう侑の言葉に名前は苦しそうに顔を歪めていたことに2人は気付いていなかった
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