SECOND43


「せや!軽く飯買ったら部室行こ!」

『え?なんで?』

「ゆっくり食いたいやん!」

『でも私部外者だし…』

「合宿の時に部活の手伝いしたやん!」

『今は違うし…』

「じゃあ部室の外に椅子出すわ!外ならええやろ?」

『まぁ…、外なら…』



そして色々な食べ物を買うと2人は部室棟の方へと向かい、侑は部室の中から長椅子を持ってくると壁にくっつけて置き、座って壁に背を預けた。




『部室の方は人居ないんだね』

「元々部活やっとる奴しか来んし、文化祭で飾り付けてあんのは校舎だけやねん」




侑は得意げに笑うとポンポンと自分の隣を叩いて名前を座らせる。




「写真撮ってええ?」



侑は答えを聞くより早く、椅子に腰掛けたばかりの名前の肩を抱いて引き寄せるとカメラを起動して腕を掲げる。




「名前が可愛く撮らんと待ち受けにしたらあかんって言うからわざわざアプリ取ったんやで?」

『可愛くっていうか…』

「ほら撮るで?」




1枚写真を撮ると、侑はそれを確認してまたアプリを起動して体を寄せる。



『え、まだ撮るの?』

「これ耳生える!凄っ!」

『……侑って流行に興味無いんだね』

「ほら!これ動物の耳生えるで!」





そのアプリが流行ったのは少し前だが侑は気にした様子は無く、名前は少し呆れながらカメラに目を向ける。





「おぉ!めっちゃ写真増えた!!」

『侑は流行とかに詳しいのかと思った』

「ん?なんで?」

『写真とか良く一緒に撮ってとか言われないの?』

「あ〜…、試合の後とか言われんな」




侑は思い出す様に上げていた視線を下ろして名前を見ると歯を出して無邪気に笑った。




「でも俺が写真撮りたい思うのは名前だけやからな」

『え、』

「試合の後…、っていうか他の奴と写真撮ったこと無いねん。まぁバレー部では撮るけど」




当然の様に言い切る侑に名前は目を見開いた。すると侑はそんな名前を見て笑った。




「マヌケな顔してどうしたん?」

『……いや、』

「そうか?なら唐揚げ食おうや!俺腹減ったわ」





侑はゴソゴソと買った唐揚げや焼きそばなどを取り出すと椅子の上に広げた。




「文化祭終わったらホテルまで送るわ」

『でも片付けとか…』

「明日もあるから片付け無いねん」




侑は割り箸を取り出して割り、「まぁ自主練あるから俺はそもそも片付けしなくてええって言われとんねん」と言った。



『えっ、自主練するなら遠回りだよ!遠回りっていうか無駄っていうか…!』

「俺がしたいからええねん」




侑の言葉に名前はグッと唇を噛む。






『……私、邪魔してるじゃん』

「ん?どうかしたか?」






小さく呟いた名前の声は侑には届かず、慌てて名前は笑みを浮かべて椅子に置かれた唐揚げに手を伸ばした。








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