SECOND41


『……文化祭だ!!』

「文化祭や言うとるやろ」



稲荷崎に着くと門にはアーチがかけられて、いかにも文化祭な雰囲気に名前は興奮気味に前のめりになる。




「まずは昼飯やな。何食いたい?」

『どんなお店あるの?』

「基本なんでもあるで」

『ん〜…、文化祭と言えば…、クレープ?』

「なんでやねん!飯やないんかい!」



そう言いながらパンフレットを開いてクレープをやっているクラスを探してくれる侑に名前は胸の辺りがむず痒くなって体を少し捩った。



「クレープは3クラスでやっとる。何処のがええ?」

『……何か違いあったりする?』

「……………な、なんかあるやろ」




侑はパンフレットを閉まってまた名前の手を繋ぐために手を伸ばした。それに気付いて名前は慌てて手を引いた。




「……はァ?」

『さっ、流石にここで手を繋ぐのは…、』

「なんで?」

『な、なんでって…、』

「なんであかんの?」

『ま、周りに人居るし…』

「水族館の時は繋いどったやん」

『こ、ここはっ、侑の学校だし…』

「関係無いやろ」

『で、でも…、』

「…………まぁ、ええわ」

『あ、侑…、』



そう言って先に歩き出した侑に名前は不安を覚えて慌てて侑の制服の袖を掴むと侑は顰めっ面で振り返った。



『そ、その…、侑と手を繋ぐのが嫌とかじゃ無くて…、私みたいな人と手を繋いでるの見られたら侑が恥ずかしいでしょ?』

「恥ずかし無いわ」

『で、でも、』




名前が言葉を考えていると不意に侑の手が名前の頬を優しく摘んだ。




「……せっかくの文化祭や。そんな顔させたかった訳や無いねん」

『…ごめん、』

「手繋ぐんは諦めるわ。それ以外でアピールすればええしな」

『え?アピール?』

「最初はクレープやったな?行こ」




侑は小さく笑ってゆっくりと歩き出した。さっきの不機嫌なオーラを纏っていない侑に安心して名前も侑の隣に並んで、文化祭と書かれ彩られたアーチを潜った。




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