SECONDB


『治?どうかした?』




侑と体育館で言い合いをしてから数分後に治からの着信があり、壁に背を預け座り込んで出てみると治の声と共に小さな侑の怒鳴り声が聞こえてきた。



「名前ゴラァ!!」

「…さっきはツムがすんません」

『………まだ怒ってるの?』

「まぁ、後ろで騒いでますね」

「許さんからな!!!」

『……何か用事でもあった?』

「俺たち進級出来ました」

『おぉ、おめでとう』

「毎年報告してたんで、一応」

『3年生だ』

「はい」




名前は騒いでいる日向・西谷を眺めながらフッと目元を緩める




『……こうやって大人になっていくんだね、おばさん感動しちゃう』

「…年寄り臭いですよ」

「ガキ扱いすんな!ババア!!」

『……ババアからしたら高校生はクソガキだよ』

「…ツムの事は気にせんでええですよ。拗らせとるだけなんで」

「なんやとサム!」





名前が話していると突然小さな痛みを頭に感じて顔を上げると烏養が名前の隣に立っていた。




『何かあった?』

「もうすぐ体育館閉めるから準備しろ」

『そういえば私今日歩きで来たんだった』

「へぇ〜」

『繋心くん送ってって』

「面倒くせぇ」

「繋心くんやと!?」




少し静かになっていた侑がまた声を荒らげ、治の携帯を奪い名前に声をかける。




「繋心くんばっかに甘えんなや!」

『はい?』

「歩いて帰れ!!……いや夜やから誰かと帰れ!!でも2人はあかん!5人以上で帰れ!」

『……小学生の班下校かな?』

「なんで車で行かへんのや!このダボ!」

『…少し運動しようと思いまして…』

「どうせ続かんのやから諦めて車で行けや!」

『確かに続いた事ないけど少しは応援してよ!』

「その結果繋心くんの車に乗る事になってんのやろ!」

『ぐっ…、』





名前は言い返すことが出来ずに唇を噛む。



「俺には甘えんくせに!」

『…なに、侑は私に甘えて欲しいわけ?』

「俺だけを特別扱いして欲しい!!」

『……ちょっと意味がわかりません』

「はァ!?」

『そんなわけで失礼しま〜す』

「切るなよ!?おいっ!」




名前が電話を切ると烏養は何も言わなかったが、良いのか?と表情が言っている気がした。



『……帰りは子供達と帰るよ』

「家が近いやつも居るだろうし大丈夫だろ」





烏養はこの時心の中で、宮侑には甘いんだな、と感じていた。




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