SECOND36
「お、おい、縁下…」
「ん?なに?」
田中はコソコソと縁下に声をかけると、縁下は怪しく思いながらも田中に体を向けた。
「なんで苗字さんは月島と山口の前で正座してんだ?」
「え?………本当だ」
田中の言葉に縁下が視線を向けると、確かに月島と山口の前で名前が正座をしていた。
「…それで?何でしたっけ?」
『いや、…あの、』
「付き合っても無い年下の男とキスした…、でしたっけ?」
『な、なんで月島くんは、その…、怒ってらっしゃるのでしょうか…』
「………相手、まさかとは思いますけど稲荷崎の双子じゃないですよね?」
『…………』
「ねぇ?」
「苗字さん…、視線泳ぎまくってます…」
名前は冷や汗をかきながら、視線を泳がせていると月島が1度足をダンっと鳴らし、そのせいで体がビクリと揺れる。
「人と話す時は目を合わせるって習いませんでした〜?」
『ハイ!!習いました!』
名前は顔を青くし月島を見上げる。
「……苗字さんは危機管理能力が低すぎるんです」
『き、危機管理能力…』
「だから変な男にホイホイ騙されるんです」
『へっ、変な男…、ホイホイ騙される…』
「ツッキーは心配してるんですよ!」
「うるさい山口」
「ごめん!ツッキー!」
月島が鬱陶しそうに山口にそう言うと、縁下が声をかける。
「体育館閉めるぞ〜!」
「はい!すみません!」
『……年下の男の子に怒られちゃった…』
「ツッキーは怒ってないですよ!大丈夫です!」
月島はスタスタと体育館を出ていき、残された名前は山口に愚痴る。
『……私、月島くんに嫌われてるかも』
「ツッキーは嫌いな人は基本無視ですから!」
『それは…、うん…、酷いな…』
「ツッキーはあぁ見えて苗字さんのこと気に入ってると思いますよ」
『……山口くん…、君はなんて良い子なんだ!!』
名前が感動のあまり山口を抱きしめようとしたその時、体育館の扉がバンっと開かれて縁下が顔を出す。
「体育館!!閉めます!!!!」
「はい!すみません!」
『すみません!!』
2人は声を揃えて体育館を去って行った。
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