SECONDA
『……?』
名前はスマホを持って首を傾げていると、その近くに月島がタオルで汗を拭きながら近寄る。
「スマホの使い方分からないんですか〜?」
『………無言電話がかかってきた時ってどうすればいいんだろ?』
「……無視でいいんじゃないですか?」
『知り合いでも?』
「…はァ?」
月島は名前の訳の分からない言葉に眉を寄せる。知り合いから無言電話をされていると相談されて月島は少しだけ混乱した。
「…知り合いから無言電話される程嫌われてるんですか?」
『……嫌われては、無い、はず…、』
「……かけてみたらどうです?」
『私から?』
「はい」
名前は月島から言われた通り、電話をかける。すると数コールして呼出音が途切れる。
『……もしもし?』
「……」
『侑?』
「…はァ?あつむ?」
名前の声に月島が反応すると名前は首を傾げた。
『…おーい?もしも〜し?』
「………」
なおも聞こえてこない声に名前は眉を寄せる。そんな名前を見て月島は笑みを浮かべ、名前のスマホに顔を寄せる。
『…?どうしたの、』
「……名前さん、早く行きましょうよ」
「…っ、」
『え、』
月島の声に電話の向こうで侑が息を飲む音が聞こえ、名前は月島の突然の行動に驚いて声を上げる。
「それに今は2人なんですからスマホは極力使わないって約束でしたよね?」
「…はァ!?」
『え、あ、ごめん?』
名前は流れに合わせて謝ると、月島はニヤリと笑みを浮かべた。
『えっと、切るね?またね、侑』
名前が言葉を発しない侑に向かいそう言って通話終了を押そうとした時、小さな声が聞こえた。
「…り、…な、」
『…え?なに?』
「……このっ、……尻軽女がぁ!!!」
『……えぇ!?』
突然の罵倒に名前は驚きの声を上げると、無言電話が嘘だったかの様に次々と罵倒が飛び交う。
「何他の男とイチャコラしとんねん!!くそビッチ!!」
『はっ、はァ!?なんでそうなるわけ!?』
「こんな夜中になんで男と居んねん!!」
『夜中ってまだ19時ですけど!?』
「関係あらへん!!夜に男と2人で居る時点でお前はビッチじゃ!!」
『高校生がそんな事言うんじゃありません!』
「またガキ扱いしたな!?」
『高校生は子供です!未成年はガキンチョです!』
「お前が一緒に居るのもガキンチョやろ!今すぐ家に帰れ!!」
『なんでそんなこと侑に言われないといけないの!?』
「うっさい!!いいから男と話すな!目も合わすな!同じ空間に居るな!!」
『意味分からないしそんなの不可能でしょ!』
「はあぁあ!?不可能!?どんだけ男と居んねん!」
『私今烏野でトレーナーやってるの知ってるでしょ!?』
「やめればええやろ!」
『急に話したと思ったら悪口しか言わないじゃん!』
「お前が言わせとるんやろ!」
『あっそ!私のせいなんですね!?じゃあ切ります!』
「切る前に男と別れろ!」
『失礼します!!』
「あっ!おい!!」
名前はそう言い切るとスマホをタップして通話を終了する。月島がお腹を抱えて笑っているのを見て名前は月島を睨む。
『月島くんのせいだよ!?』
「言い合いの内容が小学生並で本当に笑えます」
『元凶がよく笑えるね!?』
名前が月島に怒りをぶつけていると遠くから日向に名前を呼ばれて名前は溜息を吐き出して立ち上がり、日向の元へと向かう。
全国大会、烏野は鴎台に敗れた。
烏野はもっともっと強くならなければならない。
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