SECOND 27


『………変じゃないよね?』



名前は何度も自分の化粧・髪型・服装を確認して校門前に向かうと既に侑が居て名前は慌てて走って向かう。



『ごっ、ごめん!待たせたよね!?』

「俺も今来た所や」




本当にそうだったとしても待たせてしまった事に名前が眉を寄せると、侑は走ったせいで崩れた名前の前髪に触れて整える。



「俺の為にセットしてくれたん?」

『そっ、そりゃ、一応…、』




恥ずかしさから名前が視線を逸らすと侑は手の甲で軽く名前の頬に触れる。



「化粧もしとる」

『…いつもちょっとしてるもん』

「いつも以上にって事や」




侑の声は嬉しそうで名前はむず痒さを感じて少しだけ身を捩る。



「めっちゃ可愛ええ」

『……そんな事、無いし』

「俺が可愛ええって思っとるんやから否定すんな」

『いたっ、』




侑は名前の額を優しく弾くと、反射的に額を抑えた名前の片手を取って指を絡めた。



『えっ…、え!?』

「デートなんやからこれくらい許せや」




あまりに優しく繋がれた手に名前は顔が熱くなり下を向くと侑が歩き出し、それに合わせて足を動かす。




『………ぁ、』




侑の足元を見ると、比較的新しいであろう靴、そしてジーンズが見えて顔を上げると、侑の髪型は後ろから見ても分かるほど綺麗にセットがされていて名前はさっき自分を褒めてくれた侑を思い出して、唇を震わせながら言葉を紡ぐ。




『…あ、あつ、侑も、か、かっこいい、と、思いマス…、』



必死に言葉を紡ぐと所々言葉は震えていたし、裏返っていて名前は恥ずかしさからまた視線を下にさげる。



「…好きな女とのデートなんやからかっこつけたくもなるやろ。………でも嬉しいわ」


そう言った侑の声は恥ずかしさも含んでいたが、嬉しさが1番伝わってきて名前は恥ずかしかったが伝えて良かったと口元を緩めた。




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