SECOND26


『明日の服どうしよう…』



お風呂上がりの名前はキャリーバックの前に座り込み洋服を取り出すと布団の上にバラバラと広げた。



『…デ、デートって、どんな服着て行ってたっけ…?』


名前は昔の記憶の引き出しを開くが、数年前の事で思い出せず冷や汗をダラダラと流す。





『デートなんて思ってなかったから普通の服しか無い…、』




名前は持ってきた服を必死にかき集めるがどれも動きやすさを重視した洋服で布団の上で項垂れる。



『……どうしよう、』




名前がスマホを取り出し、コーディネートを探していると、不意に画面が着信の画面に変わり相手を確認すると明日のデートの相手である侑からだった。

名前は緊張しながらも深呼吸を何度か繰り返しスマホをスライドして耳に当てる。




『……もしもし』

「………俺やけど」

『ど、どうかした?』

「…いや、特に用事は無いんやけど…、」





侑は言いずらそうに少しモゴモゴと話すと、小さく呟いた。




「…名前の声聞きたいと思て、」

『っ、』



侑の直球な言葉に名前は心臓を抑えて唇を噛んで声を抑える。




『…合宿後で疲れが溜まってるんだから夜更かしはしないでね』

「おん…、」




侑は素直に返事をすると思い出した様に小さく声を出してもう一度名前の名前を呼ぶ。



「明日行きたい所とかあるか?」

『行きたい所かぁ〜』

「名前の事やから人混みとかショッピングモールとかは嫌やろ?」

『…………ごもっとも』

「やから水族館とかはどうや?」

『水族館?』

「おん。軽く街回った後水族館ならゆっくり回れるやろ?」

『……確かに、久しぶりに水族館行きたいかも』





数年訪れていない水族館を懐かしんで名前が零すと侑は「決まりやな」と言った。



「明日9時に迎えに行くから待っとって」

『侑の家の近く行くよ?』

「俺が迎えに行きたいねん。行かしてや」

『………ありがとう、』

「おん」




侑の優しく甘い返事に名前は無意識に頬を緩ませた。









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