SECOND25


「苗字さんは夕食どうするん?」

『適当にコンビニで済ませます!』

「女性1人やけど大丈夫か?」

『はい!大丈夫です!ありがとうございます!』




長かった4日間の合宿が終わり、部員達が半分地面を這うように帰り支度を纏める中、黒須に声をかけられ名前はスクイズを洗う手を止めて顔を上げる。




「学校内やから大丈夫や思うけど何かあったら警備員さんは居るからな」

『ありがとうございます!』

「4日間ほんまにありがとうな。助かったわ」

『いえいえ!こちらこそ貴重な体験をさせて頂きました!』

「お疲れ様」

『お疲れ様です!』




黒須は手を挙げて挨拶をすると体育館を出て行った。名前はそれを確認してスクイズを洗い、水を切っていく。



「手伝うわ」

『え?大丈夫だよ。夏とはいえ手が荒れちゃうよ』

「後でちゃんとケアする」




侑が名前の隣に立ち、スクイズを洗うと名前は諦めて洗うのを再開する。



「明日、何時に帰るん?」

『遅くても17時には出る予定』

「……なら、明日俺に時間くれへん?」

『時間?』

「………俺とデートして欲しいんやけど」

『デート?』





名前は侑の言葉が理解出来ず繰り返すと少しずつ意味を理解して頬が熱くなるのを感じる。侑を見つめる名前に反して侑はスクイズを洗い続けた。




「あかん?」

『で、でも、合宿後だし疲れてるでしょ?ちゃんと休んだ方が良いよ…』

「名前かて神戸観光したいやろ?」

『そりゃあ、したいけど…』

「俺が案内したる」

『で、でも…、』





名前が言い淀むと侑は手を止めて、ゆっくりと名前を見つめた。



「俺が名前とデートしたいねん」

『え、あ…、』

「明日10時頃…、それじゃ遅いな…、9時頃迎えに来てもええ?」

『え、あ、うん…、』




思わず名前が頷くと侑は嬉しそうに笑った。



「楽しみにしとる」




そう言った侑の表情が本当に嬉しそうで名前は頭の片隅で角名の言葉が思い出されていた。




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