SECOND23
「名前さんは今日泊まって明日帰るんですか?」
『うん。帰るのに5時間近くかかるから練習終わってから帰ったら遅くなっちゃう。黒須監督にも許可取ったし』
「なら安心ですね」
『うん!』
治の言葉に名前が頷くと侑が体育館の入口から現れた。
『………なんか侑目開いてなくない?』
「寝癖も付きっぱなしやん」
侑は体育館に入ると角名に写真を撮られていた。治は溜息を吐いて侑に近付くとスパンと気持ちいい音が聞こえる程の強い力で侑の頭を叩くとタオルを押し付けて体育館から追い出した。
「とりあえず顔洗わせに行きました」
『朝弱いのは聞いてたけどここまでなの?』
「いや、いつもはもう少しマシですね」
すると次の瞬間、体育館の入口からダダダと慌ただしい音が響いて顔を向けると侑が入口から顔だけを出して時計を見ていた。
「もうすぐ練習始まんで」
「ちょっ、待って!寝癖!寝癖だけ直さして!」
「誰もお前の髪型なんか見とらん」
「名前が居るやろ!」
「名前さんもお前なんか見とらんわ」
「はぁあ!?」
治が入口に移動して侑と会話したが、声が大きく名前にまで内容が聞こえて名前はどんな顔をしていいのか分からなくなった。
「寝坊したお前が悪いんやろ」
「起こせ言うたやろ!」
「起こしたし」
「ほんまに寝癖だけ!」
「もう時間や」
「あぁあ〜!この鬼!!」
侑は治に首根っこを掴まれコートまで引きずられる。すると名前と目が合う。すると侑はバッと顔を赤くして目を見開いて両手を押さえ付ける様に頭に移動させた。
「みっ、見んなや〜!!」
「女子かお前は」
恥ずかしそうに両手で顔を覆うと治が侑の代わりに部員達に指示を出しアップが開始される。その声に侑は諦めたのかゆっくりと立ち上がり、名前から視線を逸らすと拗ねたように唇を尖らせていた。
「……ランニング」
「声が小さいねん!!」
「痛ァ!?」
小さく呟いた侑の声に治が蹴りを入れると侑はいつもの調子に戻ったのか大きな声で号令をかけた。
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