SECOND22


『……』

「……」




夕飯終わりの皿洗いを合宿の間一緒に行っていた侑と名前は気まずさを感じさせる雰囲気を出しながら無言でこなしていく。



「………なぁ、」

『え、あ、なに?』



侑は皿を拭いていた手を止めると緊張からなのか少しだけ声が震えていた様な気がした。



「……」

『……』

「……昨日言い忘れとったんやけど、」




侑はお皿と布巾を置くと隣に居る名前の方へと体を向けた。名前はお皿を洗う手を止めて顔を侑に向ける。



「………好きや」

『ーっ、』




侑の真剣な表情と少し震えてる声に名前は侑が本気なのだと改めて知り、顔が熱くなるのを感じる。



「………可愛ええ、照れとん?」

『ちょ、ちょっと、あんまり近寄らないでっ、』




手に泡が付いているせいで顔を隠せない名前は必死に下を向いて顔を隠すと侑が顔を覗き込むようにすると名前は手を動かさないように1歩後ろに下がるとその分、侑が近づく。



「もっと俺を意識してや、」

『あ、侑っ、』




侑は名前の頬に手を滑らせ視線を合わせると名前は恥ずかしさから瞳に薄く膜が張っていて侑はゴクリと息を飲む。




「…名前、」

『…あ、あつ、む』




侑は緊張したように瞳を閉じて顔を寄せると、名前は視線を左右に揺らしながら濡れた手のまま侑の胸元に手を置く。



『侑…、』



侑は薄く瞳を開くと、自分の胸元に置かれた名前の手を握り額をコツリと合わせる。




「……ほんまに好きやねん、」

『っ、』




頬を染め、少しだけ眉を寄せた侑の表情と声、そして握られた手の熱さに名前はピクリと体を揺らす。



『ぁ、あつ、』




そして侑はまた瞳を閉じて顔を寄せる。名前はギュッと強く瞳を瞑り、唇を結ぶと自分の心臓がバクバクと信じられ無いほど鳴っていて心臓が口から出るのでは無いかと心配になった。




「侑、今からトランプやるらしいよ」

「痛ぁあ!?」

「………なんで侑は床に転がってんの?」




配膳室の入口からヒョコリと顔を出した角名に名前は泡の付いた両手で侑を力一杯押すと侑は後ろへと芸人ばりの勢いで倒れていた。



「…なんで苗字さんは顔真っ赤なんですか?」

『へ!?あっ、この部屋暑いからかな!?』

「冷房ついてますけど」

『お湯で洗ってたからかも!』

「…侑はいつまで転がってんの」

「…………………ほっといてくれ」




角名はそう言う侑を引きずって行くと、名前はしゃがみ込んで必死に顔の熱を冷ますために手のひらで風を送ったが大して意味は無かった。





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