SECOND21
「それで?侑は苗字さんに何したの?」
「ゴブァッ!」
『ごほっ、』
名前が席に着き、お味噌汁に手を付けたのを確認した角名は狙ったように2人に尋ねた。2人は同時にお味噌汁と麦茶を吹き出すと、侑は慌てて口を拭きながら立ち上がり斜め前に座る角名を指差した。
「おまっ、おまえっ!」
「だって昨日の侑の様子気持ち悪かったし」
「はぁ!?気持ち悪く無いわ!」
「昨日戻ってくるなり布団にうつ伏せになって暴れとったやろ」
「しかもデレデレしてたし」
「しっ、しとらんし!?」
「しかも鼻血出しとったやん」
治と角名の暴露に侑は顔を真っ赤にしながら大声を上げる。
「そんで?何したの?2人の様子可笑しいじゃん」
「襲ったりでもしたん?流石に俺も身内から犯罪者が出るのは困るんやけど」
「襲ってへんわ!!」
「名前さんはツムに何されたんですか?」
『なっ、なにもされてないけどっ!?』
「どもってるし。絶対なにかされましたよね?」
『いつも食べ終わったらすぐ部屋に戻るのに何で今日に限って戻らないの!?』
「え?だって面白そうなんで」
『本当に角名くん生意気!!』
「ありがとうございます」
『ニヤニヤすんな!!』
名前も立ち上がり目の前に座る角名を指差しながら顔を赤くし叫ぶと角名は楽しそうに顔を歪めた。
「そんな中学生みたいな反応しないでくださいよ」
『っのクソガキっ、』
「うわ、口悪い」
角名はニヤニヤとした顔を隠すこと無く名前を煽る様に言うと名前は唇を噛んで角名を睨む。すると治が食べ終わり手を合わせて「ごちそうさんでした」と言って、合わせた手を合わせたまま口を開いた。
「キスでもしたんか?」
「いや、それくらいでこんな空気にならないでしょ」
「………」
『………』
「図星みたいやな」
「……嘘でしょ」
2人は騒いでいた口を急に閉ざすと、わざとらしく視線を泳がせ、静かにストンと腰を下ろした。それを見て治は気にした様子も無く無表情で2人を見つめ、角名は信じられないように少しだけ目を見開いた。
「ツムはヘタレやからな」
「………うっさいわ」
「そんな女慣れしてますみたいな雰囲気出しといて…」
2人の甘酸っぱい様な雰囲気に治と角名は鬱陶しそうに眉を寄せた。
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