SECONDS
「………気付いてなかったって事は無いですよね?あそこまでアピールしとるんやから」
『ほっ、本気だと、思ってなくて…、』
名前が半分叫ぶようにそう言うと治はまるで信じられないものを見るかのような顔をしていた。
「……流石にツムに同情してまうわ」
『だっ、だって!侑ってファンクラブあるんだよ!?そんな子が私のことなんて好きになるわけないじゃん!』
「ツムが名前さんに惚れたのは中学ん時です。ファンクラブも無かったし。……ていうかファンクラブは関係無いでしょ」
『侑って顔は良いじゃん!?』
「同感ですけどなんで急に悪口言い始めるんですか」
名前が治に詰め寄る様に言うと治は呆れた様に息を吐き出し、名前が作っていたスクイズを手伝うと思い出した様に名前もスクイズを作り出す。
『……侑って顔は良いし、背は高いし、バレーだって上手いじゃん?性格と勉強は…、まぁ、あれだけど…、』
「女に喧しブタって言うような男ですけどね」
『……確かに』
名前は冷静になったのか無言でスクイズを作り続けた。
******
「名前さんの飯もあと明日だけですね」
『だから味わって食べてね〜』
治に夜ご飯を配膳すると治はコクリと頷き、ご飯を見つめ続けながら席に着いていた。
「……」
『……』
いつもなら一言二言、言葉を交わす名前と侑の間に会話は無く、名前は静かに配膳をしていく。
「………席で待っとる」
『え、あ、…うん、』
そう言って侑は治の座っている席の方へと向かって行った。
「なんか中学生みたいな空気出さないでもらえます?」
『……角名くん、遠回しの嫌味やめてくれる?』
「嫌味なのは伝わったんですね。良かったです」
『角名くん生意気…』
「ありがとうございます」
『褒めてない!!』
角名は特徴的な笑い方をしながら双子がいる席に向かって行った
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