SECOND@


侑はベッドの上で正座でスマホを両手で握り、緊張した様な面持ちで画面を睨み続けていた。




「さっさとかけろや」

「うぉあ!?」




侑の片割れである治がひょこり目元だけを覗かせてそう言うと侑は芸人顔負けの倒れ芸を披露した。



「おっ、おどろっ、驚かせんなや!」

「お前が自分で電話かける言うたから俺はまだ電話しとらんのやぞ。はよしろ」

「わかっ、分かっとる!」




侑は瞳を閉じて息をゆっくりと吸い込み、吐き出すと覚悟を決めた様に瞳を開き、震える指でスマホをタップする。


「……」


するとコール音が鳴る度に侑の心臓音も大きくなっていく。数コール鳴った後、機械音が少し交じった名前の声がした。




『…もしもし?』

「……」

『………もしも〜し?』

「……」

『もしも、』



名前の声が途中で途切れたと思ったら侑はスマホを両手で持って通話終了を押していた。



「何しとんねん」

「…名前が居った」

「はぁ?」

「…名前が耳元に居った!!なんやこれ!名前の声がすぐそばからしたわ!!」

「スマホや!!原始人かお前は!!」

「あっ!俺のスマホ!!」





治は侑のスマホを奪い操作すると耳元に当てた。




『………さっきの何?無言電話されたんだけど?』

「すんません。ツムがヘタレなせいです」

『……治?』

「はい」

「俺!次俺っ!サム!」

「うっさいな!ガキか!……ツムと代わります」




侑は治に両手を伸ばしてアピールをすると治は苛立ちながらも侑にスマホを返す。侑がスマホを耳に恐る恐る当てる。



『もしもし?侑?』

「……」

『…もしも〜し?』

「………」

『もしも、』

「何切っとんねん!!」



侑はダラダラと汗をかきながらスマホをタップすると治が大声で侑を怒鳴りあげる。



「……名前と話せた!!」

「話せてへんわ!!」

「今日はええ日やな!!」

「お前無言電話しただけやろ!!」




この日侑はずっとニヤニヤしていたらしい。




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