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「な〜、名前〜」
『……なに?というか離れて』
「嫌や。絶対に離れへん」
「おいツム、いつまで名前さんに抱きついとん。離れろ」
「嫌や!」
「俺やってまだ今日抱きしめとらんのやぞ!」
「早いもん勝ちや!」
『……』
家で持ち帰って来た仕事をしているというのに、家で何故か180cm超えの高校生2人に囲まれている。1人は座っている私の背中にベッタリとくっつき後ろから私を抱きしめていて、もう1人はそのすぐ隣に座り、私の後ろにいる片割れと口喧嘩を始めている。
『君たちは私の家をご飯所か何処かと勘違いしてるの?』
「そんなわけないやん!サムはそうかもしれんけど?」
「俺かて思っとらんわ。ツムは思っとるやろうけど」
「はァ!?俺は名前に会いに来とんねん!サムとは違って!」
「俺かて名前さんに会いに来とんねん!」
『うるさい…』
「あ、ごめんな〜、名前を放ったらかしにしてもうたわ〜。寂しかったか〜?」
「名前さんは俺に構って欲しいですよね?」
『仕事がしたいかな…』
「そんな書類触っとるんなら俺に触ってや」
「ツムより俺の方が温かいし、弾力ありますよ」
「俺よりちっと体重あるだけやろ!デブ!」
『デブは私にも響くから止めて』
「ツムのやつ最悪ですね。追い出しますか?」
「名前に言うとらん!しかもサラッと追い出そうとすんな!」
「ツムが出てけば俺と名前さんでイチャイチャ出来んねん」
「させへんし、俺が名前とイチャイチャすんねん!」
『………』
私が小さく溜息を吐くと、2人はバッと私を見て声を揃えて言った。
「「どっちとイチャイチャしたい!?」」
『……どっちも出てって欲しい』
私の声は2人に届く事は無かった。
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