07
「今冬休みやないの?」
『冬休みだよ?』
「どっか出掛けへんの?ずっと俺ん家に居るけど」
『出かけない。面倒だし』
「友達とかは?」
『俺友達居ないし』
「……」
俺がそう言うと宮さんは自分が傷付いた様な顔をした。俺はベッドに寝そべっていた体を起こして胡座をかいて宮さんを見る。
『別に虐められてるとかじゃないから。ただ俺が話さないだけ』
「…なんで?」
『怖いから』
「…怖い?」
『そう。そうやって相手に気を許してまたゲイだってバレたら?……そんなの辛いじゃん』
「……」
『学校のヤツらを好きになる事は無いけど、…………なんか、ダメなんだよね。学校の奴らは好きになれない。何となく、そういうストッパー?みたいなのが出来ちゃって、』
「……」
『……宮さんは本当に優しいね。自分が傷付いたみたいな顔して。……俺はそんなにできた人間じゃないや』
「…俺は別に、」
『あ!そうだ!じゃあさ!宮さんがどっか連れてってよ!』
「……」
俺がそう言うと宮さんは少しだけ目を見開いた。
『何処でもいいよ。すぐそこのショッピングモールでもいいし』
「……ええよ」
『…え、』
「なんで自分で驚いてんねん」
『…冗談だよ。宮さん忙しいでしょ?』
「俺は別に、」
『今日は俺、昆布のおにぎり食いてぇ。作ってよ』
「……分かった」
『よっしゃ』
「……お前は、いつもそうやな」
『え?』
宮さんは小さく呟くと俺の頭をひと撫でして台所へと消えていった。
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