05



『……』




朝目が覚めると隣に宮さんは居なかった。





『……』

「お、起きたか?」

『…おはよう、ございます』

「おはよう」




俺が上体を起こすと、コトリと机におにぎりと味噌汁が置かれた。



「今日は月曜やし学校やろ?」

『…うん』

「送ったるから準備せぇよ」

『………分かった』



俺はおにぎりと味噌汁を食べてある程度準備を済ませて宮さんの車に乗り込んだ。



「家この近くか?」

『…そう』

「なら制服に着替えたら学校まで送るわ」

『…いいよ。自分で行きます』

「ついでや」

『……』




俺の無言を肯定と取ったのか宮さんは何も言わなかった。俺はただずっと窓の外を眺めていた。




『…ありがとうございました』

「あ、せや。連絡先聞いてなかったわ」

『連絡先?』

「あった方が何かと便利やろ」




宮さんはスマホを取り出すと俺に差し出した。



「ん、QR出したから」




俺は言われるがまま読み込んでスマホを確認すると宮治と書かれた画面が出ていた。



『……みや、おさむ?』

「おん、何かあったら連絡して来い」

『……何か無いと連絡しちゃだめ?』



俺がそう言うと宮さんは少し驚いた様な顔をしたけど、すぐに笑って俺の頭ぐしゃぐしゃと撫でた。



「何もなくてもええわ」





何でもないただの連絡先のアイコンが俺には何故か特別に思えた。






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