16(完)


『……は?夜?』

「名前がグースカ寝とる間に夜や。はよ風呂入って寝るで」



慌てて風呂入って髪を乾かして布団に潜ると治さんも俺の隣に潜り込んだ。




『明日は?仕事?』

「明日は雪が荒れる言うとったから休みやな」

『………へぇ〜』

「何ニヤニヤしとん」




治さんの胸元に擦り寄って上目遣いで見上げて甘い声を出す。



『じゃあえっちなこと出来るね』

「寝るで」

『………』




治さんは俺に背を向けて本当に寝始めると、俺は治さんの背中に耳を当てて名前を呼ぶ。



『…治さん、』



俺が名前を呼ぶと少しだけ治さんが身動ぎをした。



『……治さん』

「…なんや」

『……えっちしたい』

「せぇへん。寝ろ」

『…〜っ!』

「あっ!おい!」




俺は治さんに馬乗りになって不機嫌を露わにする。



『……なんで嫌がるの?俺が男だから?』

「ちゃうわ」

『じゃあなんで?』

「お前はまだ未成年やろ。犯罪や」

『合意があれば犯罪じゃない』

「でもあかん」

『……俺彼氏居たんだよ?』

「知っとる」

『…まぁ、最後まではできなかったけど』




俺は頬を治さんの胸元に当てて倒れ込む。




『……また、捨てられるんじゃないかって、不安になる』

「…名前」

『ヤる事が全てじゃないっていうのも分かってる…、………ごめん、治さんを信じてないわけじゃないけど、…………怖い、』




俺が小さく呟くと、治さんはフーっと溜息を吐いた。


「お前はほんまに面倒臭いな」

『ひっ、酷っ、』

「そこが可愛ええと思うとる俺は末期やな」

『……』

「…名前、」

『なに?』

「……俺が入れたいんやけど、ええ?」

『……いいよ。治さんなら、なんだって』





俺が顔を上げると視線が交わって自然と瞳を閉じて唇を合わせる。すると治さんの舌が俺の唇を撫でるから少しだけ口を開くと舌が擦り合わされる。



『…ん、』



腰に違和感を感じて、その違和感の正体に気づいて安堵する。



『…はっ、……良かった、』

「何が?」

『ちゃんと治さんが反応してくれてて』

「……当たり前やろ、アホ」




そう言って治さんはもう一度唇を合わせた。





*******






『………………』

「起きたか?おはよう」

『……おは、よう、ございます』

「照れとんの?」

『………………少し、』




俺がそう答えると治さんは笑って俺の頬を撫でた。




『……俺と居るの後悔してる?』

「…はァ?」




治さんは眉を寄せて至極不愉快だと言わんばかりの表情を浮かべると、俺は治さんの胸元に抱きついて額を擦り付ける。



『治さんがそう思ってても離れてやんねぇ』

「……思っとらんわ」

『飼ったからにはちゃんと最後まで面倒みろよ』

「……喜んで最後まで面倒見たるわ」





そう言って治さんは俺の額に優しく口付けを落とした。






〜END〜




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