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「確かにお前のことは可哀想やなって思った」

『……』

「ワガママ言うたなって思ったら冗談なんて言うて、何でも諦めた様な目をして、」

『…』

「そんな面しとる高校生なんてそうそう居らん。けど、その反面、」




宮さんは声を低くして言った。



「凄く腹が立った」

『ーっ、』

「自分から進む事もせんで自分だけが不幸やみたいな顔しとるのも、狭い世界しか知らんくせにこの世の全てを知ってる様な顔をしとる事も」

『…』




俺が唇を噛むと、ピリっと痛みが走った。





「…不幸面しとるやつに幸せなんて来るわけないやろ。お前はゲイやからって言うけどな」





「お前が1番、ゲイなのをバカにしとるんやないのか?」

『…っ、ち、ちがっ、俺はっ、』




言い返したいのに、喉が張り付いた様にくっついて声が出ない。




『………だっ、て、仕方ないだろ…、全部、諦めた方が楽なんだ、』



誰かを好きになるのも、誰かに好きになってもらうのも、



諦めていた方が傷つかないで済む



前の時だってそうだ。本当に好きなのかと聞かれたら俺は好きだと答える。



ならば何故、もっと縋りつかなかった?

もっと本気で俺がその人の恋人だと女に伝えれば良かった。

なのに俺はそれをしなかった。



俺は心の何処かで諦めていたから。



好きだと言われたから俺も好き



その方が自分が好きになるよりずっと楽だ




『……好きになるのがっ、こわいっ、誰かに本心を伝えるのがこわいっ、』

「…やから全部諦めて捨てんのか」





そうだ。その方がずっと楽



俺はいつだってそうして来たし、そうしていくつもりだ。




なのに、どうして、





この人を失う事がこんなにも怖いのだろうか





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