008
『だってお前じゃこの問題解くのに時間かかる』
「そっ、そらそうやけど…」
『………なに?宮って意外と真面目なの?』
「は?」
『こういうの真面目にやらないタイプかと思ってた。俺がさっさと答え書いた方が部活にも早く行けるだろ。俺も早く帰れるし………ていうか俺がここに居る必要は本当は無いんだけど』
「………そんなに俺と居るの嫌なん?自分」
『まぁ嫌か?って聞かれたら嫌だな』
「ひどっ!」
侑はガーンと音がつきそうなほど青ざめ、机に頬を付けると涙目で名前を見上げた。
「……苗字って俺と居る時、本当に笑わんな」
『まぁな』
「北さんと居る時は笑っとるやろ」
『まぁな』
「………苗字って意外と頭ええんやな」
『まぁな』
「…………なぁ」
『まぁな』
「………俺の事好きやんなぁ?」
『まぁな』
「じゃあ俺と付き合わへん?」
『断る』
「なんでやねん!!!今はイケそうな雰囲気やったやろ!!」
『イケそうな雰囲気ってなんだ』
名前はプリントから顔を上げて侑をジト目で睨むと、侑は頬を膨らませ唇を尖らせた。
「話聞いて無かったんとちゃうんかい」
『話半分だったけど途中からは聞いてた』
「…でも俺の事好き言うたやん」
『あぁ、適当にな』
「適当!?」
名前はまたプリントに視線を戻して文字を書いていく。すると侑は名前の頬に手を滑らせる。
『………邪魔すんだったから帰るぞ。元々はお前の課題だろ』
「……なぁ、ほんまに付き合わへん?」
『そういう冗談女に言わない方がいいと思うぜ。いつか後ろから刺されるぞ』
「結構本気なんやけど」
『………はぁ、…宮ってゲイ?』
「はァ?ちゃうし」
『なら何でそんな事俺に言うんだよ』
「…………なんでやろ?」
『俺が聞いてんだよ…』
名前は呆れたように眉を寄せて鬱陶しそうに顔を歪ませると侑は名前の頬を親指ですりすりと撫でる。
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