006


「家帰るんか?」

『うん。練習見ても仕方ないし』

「なら婆ちゃんの手伝い頼んでもええか?」

『ん、わかった』





北は満足そうに少し笑うと体育館へと戻って行った。その間も侑はずっと名前を見ていた。名前は鬱陶しそうに顔を顰めると侑を睨みあげる。




『さっきからなんだよ』

「…北さんと仲ええんやな」

『別に関係無いだろ』

「あの北さんと仲ええって気になるやんか」

『………幼なじみ』

「はぁ?苗字神戸弁ちゃうやん」

『俺がこっちに越して来たのは小学生』

「ふ〜ん…」





侑は無表情で名前を見下ろすと、名前は1歩後退る。



『な、なんだよっ、』

「いや〜?別に何も無いんやけど…、」

『じゃあっ、こっち来んなよ!』




後退る名前の二の腕を掴み自分の方へと引き寄せると、自然と顔が近づく。名前は眉間にシワを寄せて侑を睨む。




『痛てぇよ!なんだよ!離せよ!』

「…幼なじみか何か知らんけど北さんには笑いかけるんやな」

『はぁ?』

「……なんか、」




侑はいつもの様なニヤニヤとした表情では無く、不気味にニヤリと目元と口元を歪ませる。それを見て名前はハッと息を飲み込む。



「………おもろいやん」

『ーっ!』



名前は二の腕を掴んでいる侑の手を乱暴に振り払うと校門を目指して走り去る。



「……」




その名前の後ろ姿を侑が楽しそうに口元を歪めながら眺めていた。



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