004
「苗字っていつも何処で飯食うとるん?」
『…どこでもいいだろ』
「え〜!一緒に食おうや〜!」
『死んでも嫌だ』
お昼のチャイムが鳴ってクラスが一気に騒がしくなる。名前は弁当をカバンから取り出して席を立つと、侑が名前の前に立ち塞がって先程の会話が広げられた。
「俺購買行きたいねんけど」
『勝手に行け』
「待っててくれるん?」
『そんなわけないだろ』
「じゃあ一緒に購買行こうや〜!」
『ふ ざ け ん な !!!』
名前の後ろの制服を掴んで子供の様にごねる侑に名前は額に青筋を浮かべて足を一歩一歩前に踏み込む。
「ちょっと侑〜、苗字くん可哀想やろ〜!私たちと食べようや〜」
「あははっ!絡まれて可哀想やわ〜!」
近くで見ていた女子たちに揶揄うようにそう言われ名前は顔に熱が集まり慌てて視線を下に下ろす。
「……」
侑はそんな名前を見て、ヘラりと笑って女子たちに言い返す。
「何が可哀想や!俺と一緒に居れて嬉しいに決まっとるやろ!」
「出たっ、侑の自意識過剰〜!」
「あははっ!」
名前は唇を噛み締めて侑の手をバシッと払い退けて教室から出て行く。
「………」
その姿を侑は女子たちと話しながら横目で眺めていた。
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