013
「キス言うてもくっつけるだけやないで?ちゃんと舌を絡めるやつな?」
『……』
「そんな嫌な顔せんといて。俺はこのまま襲ってもええんやけど?」
『〜っ、クソ野郎っ、』
「褒めんといて〜」
侑は名前の顎を包む様に片手で掴むと口をパカっと開いた。
「俺みたいに口開けて」
『……』
視線を逸らして唇を噛んでいるとチャイムの音が鳴り響く。名前は慌てて顔を上げる。
『チャ、チャイム鳴った!急がないと!』
「次はビデオ見るだけやから大丈夫やって。それにおじいちゃん先生やから居なくたってバレへん」
『〜っ、』
「口開けてくれたらそれでええから」
『………本当にクソ野郎だな』
「フッフ、……ええ子やね」
侑が優しく、厭らしさを含んだ声で呟くと、名前はゆっくりと唇を薄く開き、侑はニヤリと笑って唇を合わせる。
『っ、』
にゅるりと口内に侑の舌が入って来て名前の舌を絡めとる。必死に舌を引っ込めるが顎を持ち上げられて舌を深くまで追われ絡められる。
『っ、……ぁ、』
名前は瞳をギュッと力いっぱい瞑り、侑のワイシャツの胸元をシワが付いてしまいそうな程握る
『ぁ、……んんっ!』
侑の舌が名前を上顎をなぞった時にビリビリと電気が流れた様な衝撃が走り、慌てて侑の胸元を押し返す。
「……」
『んっ、…んんッ!』
侑は薄く開いた瞳で名前を見つめると、追い打ちをかけるように上顎を執念深く丁寧に愛撫する。
『ゃ、っ…ん、み、みやっ、〜っ!!』
「…あれ?イってもうた?」
『はっ、…っ、はぁっ、』
ズルズルと座り込む名前を侑は親指で唇を拭いながら顔を覗き込むようにしゃがみ込む。
「そないに俺のキスが気持ち良かったんか〜」
『っ、…クソがっ、死ねっ、』
名前は涙目になり必死に羞恥心を隠す為に侑に罵声を浴びせると侑は名前を優しく抱きしめて背中を摩る。
「俺もがっつき過ぎたわ」
『はっ、はっ、』
「ゆっくりでええから。ちゃんと息せぇ」
優しく甘い声に名前は目の前にある侑の肩に額を預ける。
『………』
するとふわりと侑の香りがして名前は肩の力を抜く。その間も侑は優しく名前の背中を摩り続けた。
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