012



『っ、』



名前が必死に侑の体を押し返すが、逆に侑に体重をかけられて1歩ずつ後ろに下がる。



『っ、〜っ、』



背中に壁が当たり顎を持ち上げられて唇が何度も重ねられる。名前は口を固く結び侑の舌を拒むが、侑は片手を名前の首裏に回し、片手は壁に付いて距離を詰める。



「フッ…、」




侑は小さく笑うと、首裏に回していた手をゆっくりと髪の毛の間を縫う様に地肌に触れる様に後頭部へと回す。



『〜っ、』



名前は厭らしく撫でられる手に声が出そうになるが必死に唇を引き結ぶ。すると侑はゆっくりと唇を離して唇を首筋に移動させる。




『っ、おい!お前いい加減にっ、』

「そないにデカい声出したら誰かに聞かれてまうで?」

『…!』




名前が言葉に詰まると侑はまた小さく笑うとべろりと名前の首筋を舐める。




『っぁ、』




侑は小さく漏れた名前の声に気分を良くしたのかプチプチと名前のワイシャツのボタンを外していく。



『っ、おいっ、ここ廊下だぞ!』

「その言い方やとここや無い場所ならええっていう風に聞こえるで」

『ち、ちがっ、』





名前が否定をすると侑は首筋から顔を上げて、名前の手を取りそのまま手のひらにキスをする。



「キスさせてくれたら止めたる」

『〜っ、』




目を細めて顔を寄せる侑に名前はギッと睨み上げた。






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